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1996年5月30日(木)《BN》
【罠解除士鍛錬場:大塚 仁・富田 剛・相川 まこと・上田 大地】
「現実的に今の所必要ないんだよね」
「そうですね。今後新迷宮の次の迷宮が出てくるとかなければいらないと思います」
罠解除装置をペタペタと触りながら発した富田 剛の言葉を聞いて、大塚 仁が返事を返した。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行なっている。朝から相川 まことや上田 大地が罠解除装置で鍛錬を行なっているのを眺めていた富田と大塚であったが、今後の罠解除装置のアップデートなどの必要可否について話をしていたのである。現在罠解除装置はレベル10までの罠解除について鍛錬することが出来る。実際に新迷宮までの探索を終了し、それ以上の罠が迷宮内に存在しない以上、罠解除装置に今以上の罠解除機能を実装させる意味はない。ただ、今後もし新迷宮よりも難易度が高い迷宮が発見され、それに伴い今以上に難解な罠が出現するのであれば、それに対応するように罠解除装置をアップデートする必要が出てくるのだ。
「レベル11以上の罠とか考えたくもないですね」
すでにレベル10の罠は解除できるようになっている上田が感想を述べる。解除できるとはいえ、それほど簡単に出来るものではなく、かなりの集中力と精神力を消費する。また、男性にとって罠解除装置の罠解除失敗は吹っ飛ぶことを意味する。レベル10をクリアして以降吹っ飛ぶことがなくなった上田だが、レベル11が搭載されればまた吹っ飛ばないといけない日々が戻ってくるである。
「まあでも次の迷宮が発見される噂は今の所ないですから、あるにしても結構先ですよね」
レベル10の罠を解除して戻ってきた相川が言葉を発し、それに全員が軽く頷いた。冒険者組織の調査部が色々と調査はしており、他の迷宮が存在する可能性は非常に高いという判断を下しているが、今の所現実的に発見される見込みはないのである。
「じゃあおいらは帰りますね」
こう言って富田は一足先に罠解除士鍛錬場を後にした。何か予定があるのかどうかは良くわからない。