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1999年11月10日(水)
【罠解除士鍛錬場:高村 佳子・村田 恋歌・笹井 紀夫・中津 明日菜】
「ふー」
「あ、佳子クリアできたおめー」
罠の解除を確認し、大きく息を吐いた高村 佳子に向かって村田 恋歌が大きな声で叫んだ。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。19期の罠解除士である高村、村田、笹井 紀夫、中津 明日菜は朝から一緒に鍛錬を行っており、ある程度時間が過ぎた後で罠解除装置が空いているのに気づく。そこで、順番に罠解除装置を使用することにしたのである。現在4人ともレベル3まではクリアしているので、レベル4の罠にチャレンジをしているのだ。もちろん笹井は男性なので、失敗した場合には吹っ飛ばされてしまうのはいつも通りである。
「高村ちゃんおめー」
「おめでとー」
多少満足感を浮かべて戻ってきた高村に向かって笹井と中津が声をかける。それに高村は笑顔を浮かべることで返事を返した。
「じゃあ次私行ってきます」
こう言いながら敬礼ポーズを行った村田が罠解除装置に向かう。もちろんレベルは4に設定し、出現した罠に両手を差し込む。
「むむむ」
初めのうちは調子良く罠を小さくしていったが、ある場所で急に手の動きが止まり、困惑の表情を浮かべる。そして解除ができないことを悟り、村田は罠から両手を引き抜いた。
「無理でしたー。くやしい」
こう言いながら村田が戻って来たので、次に中津が罠解除装置へと向かう。中津もかなり気合を入れて解除を行ったが、先程村田が詰まった辺りでやはり動くことが出来なくなり、あえなく失敗に終わる。
「あそこだよねー」
おそらく同じ場所で詰まったことを中津が村田に話しかける。すると村田は首を縦に振ることでそれに答えた。
「ではまた吹っ飛んできます」
こう言って意気揚々と笹井が罠解除装置に向かい、装置を起動させる。そしてしばらく順調に両手を動かして罠を小さくしていく。しかし先程の2人が詰まったあたりで笹井も動きが止まり、そして大きくため息をついた。
「トンデラハウスー」
罠解除装置からの衝撃波で笹井はこう叫びながら後方に吹っ飛ばされたのであった。