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1996年7月29日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「これは・・・」
「これはひしゃくじゃな」
 出現した亜獣を見つめながら思わず漏らした前田 法重の言葉を聞いて、本田 仁が脊髄反射的に突っ込みを入れた。ここは新迷宮。本日も黒髪てへトリオ部隊はいつものように地下6階の鏡の間を訪れている。いつものように罠を解除し、亜獣が出現したのであるが、その亜獣の出典は誰もがわかるものであった。だが、なぜこれが出現したのかは今の所不明である。
「良し。倒すぞ」
「TNT爆発」
「無効」
 戦闘開始の前田の言葉を聞いて本田と中島 一州が呪文を唱え、戦士3人は亜獣に突撃する。出現した亜獣は人型の体に大きな羽が背中についている。見た目的には名作“聖闘士星矢”に出てきた冥闘士地妖星パピヨンのミューそっくりである。ちなみに本来は幼虫からサナギ、成虫へと進化するのであるが、出現した亜獣はいきなりクライマックスである成虫状態での出現であった。
「中々手強い」
 戦士の前田、原田 公司、中尾 智史の3人で波状攻撃を仕掛けるも、その剣筋を羽根を利用して軽く交わされている。これはトレーニングルームで戦った着物女と同じような現象である。
「本田、呪文ガンガン頼む」
「了解ー、てぃ・・・ってあれ?」
 後方に向かって前田が大声で叫んだが、本田は呪文を唱えようとするも、体が硬直させられているのに気ずく。また、呪文を発現しようとしたが、その能力も封じら得ているようである。
「前田くん。何か呪文は唱えられないみたい」
「マジすか。了解。俺らだけで倒すぞ」
 実は後方の3人はミューの能力によって体の自由を奪われており、それを中島が前衛の戦士3人に伝達する。それを聞いた前田は状況を理解し、覚悟を決めて戦士3人で倒すことを決めた。この後は意外に強いミューにかなり苦戦するも、何とか倒すことには成功したのである。
「物質回収します。結構やばかったっすね」
 こう声をかけながら大塚 仁が物質回収に向かい、戦士3人は戻ってきて中島に回復を依頼した。喰らったダメージが結構大きく、現在の中島の回復能力をほとんど使い切ってしまったので、本日はこの1戦で探索を終了することにし、本田の瞬間移動を使用して迷宮を後にしたのである。ちなみに、この時は気づかなかったが、ミューが出現した要因はアトランタオリンピックの開会式に出席していたモハメド・アリさんを例えた“蝶のように舞い蜂のようにさす”の言葉から誰かがミューをイメージしたという意見に落ち着いたようである。

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