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1996年6月10日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「さて、何が出ますかね」
「またガチャピンが出たら笑いますけどね」
 目の前で鏡にかかっている罠を解除している大塚 仁を眺めながら発した原田 公司の言葉を聞いて、中尾 智史が返事を返した。ここは新迷宮。本日も黒髪てへトリオ部隊は地下6階の鏡の部屋を訪れている。この1週間先週の現象からいろいろ仮説を立ててみたが、この鏡から出現する亜獣のルールはまだはっきりとは分からない。ただ、出現した亜獣の共通点としては誰かがその存在を知っているということだ。旧迷宮や新迷宮で出会った亜獣もそうだし、ガチャピンやムックっぽい亜獣もそのルールには当てはまる。今後誰も見たことがない亜獣が出現すればそのルールは否定されるが、それまではこのルールでほぼ間違いないのではないかとの結論をつけている。
「解除できました」
 罠解除に成功した大塚がこう叫び、鏡から離れ後方に下がる。すると鏡の中からは何やら人間のヤンキー高校生っぽい2体の亜獣が出現した。
「こいつら何だっけ。見たことある気がする」
「俺も見たことあります」
 亜獣を確認した前田 法重が声を上げ、それに原田も言葉を続ける。今この2人が何なのかは思い出せないが、とりあえず倒す以外の選択肢はない。
「TNT爆発」
「無効」
 後方から本田 仁のTNT爆発と中島 一州の無効の呪文が炸裂する。それを亜獣は両手でガードするようなポーズで耐えているようである。
「行くぞ」
 気合を入れた前田の声を皮切りに、亜獣と前田、原田、中尾の戦闘が開始される。このヤンキーの亜獣は1人が少し感情的なタイプで、もう1人がガタイが大きい冷静タイプである。おそらくヤンキーとしては非常に喧嘩が強い2人なのであろうが、流石に冒険者の剣士相手では分が悪く、程なく悔しい叫び声を上げながら消滅していった。
「お疲れ様です。物質回収します」
 いつものように大塚が物質回収に向かい、戦士3人が部隊に合流したところで先程の亜獣の正体について話し合う。全員がどこかで見たことがありそうとのことだが中々思い出せない。すると、何か思いついたように本田が口を開く。
「さっきの2人ってガチャピンとパクじゃないですっけ」
「それだ!」
 そこにいる全員が言葉を揃えて同意する。ちょうど物質回収から戻ってきた大塚も納得の表情を浮かべている。
「まさかのガチャピン繋がりとはな」
 やられたという表情で前田が言葉を漏らす。有名作品のキャラクターだとしても主役級じゃないのを出されてもすぐに思い出せないのは仕方ない。
「どうでもいいことですけど、昔おれ富田さんにそのガチャピンに似てるって言われたことありますよ」
 この大塚の声を聞いて全員が大塚に視線を向けるが、似てるかと言われるとそうでもない気がする。
「富田さん結構いろいろ似てるっていうんですよね。俺ラガシュ王にも似てるって言われたからですね」
「ラガシュ王ってあの舌ペロって出してるやつだっけ?」
「それはアルゴン王ですよ。前田さん」
 さらに自分が似ているキャラについて話をした大塚に対して、前田が疑問に思ったことを質問をし、その質問は本田が軽く回答したのであった。

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