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1997年2月17日(月)《BN》

【熊大迷宮:人類補完計画部隊】
「君が高宮くんかねー、さあかかってきなさい」
 こう言葉を発しながら出現したブッチャーを睨みつけて、高宮 太輔は両手剣を一段と強く握りしめた。ここは熊大迷宮。人類補完計画部隊は本日も地下1階を探索しており、本日からボス戦を開始するべくブッチャーの部屋を訪れているのである。ブッチャーについての情報はきちんと確認しているので,現状の実力で挑戦しても問題ないと判断をしている。そして戦士3人のチャレンジ順はとりあえず隊長で1番実力も高い高宮から行うことにしたのである。
「隊長ー頑張れー」
「高宮くんふぁいとー」
 後方から翁長 祐紀と新藤 麻乃の応援の声が聞こえる。大好きな新藤の応援の声を聞いて高宮は元気百倍である。
「勝負!」
 この大きな掛け声と共に高宮とブッチャーの戦闘が開始した。ブッチャーは大柄な見た目とは裏腹に攻撃のスピードは非常に速く、全てやり過ごすのは困難である。ただし、そのダメージは意外に小さいので、まともに喰らったとしてもそれほどのダメージは感じない程度である。また、防御力に関しては大きい体がそのまま防具としての役割も果たしているようであり、まともに攻撃が成功したように見えても、ダメージが通っているかどうかわからないほどに平然としている。ただ、マニュアルには確実にダメージは通っているとの記載があったので、それを信じて攻撃を続けていくしかない。
「負けることはなさそうだな」
「まあうちのリーダーですからね」
 後方でブッチャーの動きを分析しながら三嶋 邦夫が漏らした言葉を聞いて、梅津 紗絵も感想を口にする。ダメージは複数回喰らっているようであるが、特に動きに変化が見られないので、ダメージ自体はそこまで溜まっていないことが伺える。そして攻撃は確実にブッチャーに当たっているので,おそらくかなりのダメージが蓄積されているはずだ。この後、しばらく戦闘が続いた後でついにブッチャーが消滅の時を迎える。
「ひ、ひでぶ」
 断末魔の声を叫びながら静かにブッチャーは消滅していった。
「高宮くんお疲れ様。物質回収します」
 笑顔で声をかけながら新藤が物質回収に向かい、高宮はそれにサムズアップで返した後で、回復を依頼しに金尾 秀文の場所まで移動した。この後は物質回収と回復が終わるのを待って三島と梅津が順番にブッチャー戦を行う。そして梅津のブッチャー戦が終わった後で探索継続可否を話し合い、本日はブッチャー1戦ずつで満足し、迷宮を後にしたのであった。

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