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1998年6月22日(月)

【熊大第1迷宮:人類補完計画部隊】
「高宮、お前が戻ってくるのを待っていた」
 出現後すぐに笑顔を浮かべてセリフを発したペケは、満足げな表情を浮かべてそのまま消滅していった。
「おおー太輔くんオメー」
「やっとクリアやなー」
 後方で見守っていた戦士の前野 諭子と雨宮 英利香の声が響き、雨宮 太輔は振り返って大きく息を吐いた後サムズアップをする。ここは熊大第1迷宮地下7階。本日もボスであるペケ戦を行いにここにやって来ている。とはいえ、前野と雨宮は前回の探索までにクリアしているので、後は雨宮のクリア待ちだったのである。
「どうするー?地下8階降りるー?」
 全員の顔を見ながら前野が叫ぶ。それを聞いて雨宮と高宮、罠解除士の長内 泰大は元気よく右手を上げ、僧侶の金尾 秀文と魔術師の鬼塚 茉莉花は遠慮がちに右手を上げた。結論全員賛成のようである。
「良し、じゃあ行きましょう」
 そう言って歩き出した前野と一緒に全員が移動を始める。エレベータに乗り、部隊は地下8階へと降りてきた。この階の構造もすでに理解しているので、まず前方の突き当たりのドアまで歩き、左側のドアの罠解除を長内が試してみる。だが、解除は出来なかった。
「どんまい。じゃあこっち行こうかね」
「扉の奥に何かわんさかいますね」
 扉に近づき亜獣探知を行った長内が数を数えきれないほどの亜獣がいるとの言を発する。それを聞いて、5〜6体ぐらいなら全く問題ないが、わんさかいると言われるとなかなか危険が危ないレベルなので、残念な気持ちがあったが、本日はこれで探索を終えることにした。

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