1996年11月14日(木)《BN》
【熊大迷宮:東方は赤く燃えている部隊】
「罠解除できました」
無事に罠解除できたことに安心した気持ちを表情に浮かべながら堀田 鈴華が報告の声を上げた。ここは熊大迷宮。東方は赤く燃えている部隊は本日も地下4階を訪れている。前回の探索でボスのおっさんをクリアしていたので、本日はブルーリボンの部屋の攻略になる。とりあえず無事に扉の解除が出来たので、後は部屋に侵入するだけの状況となった。
「鈴華おつー」
「さて、緊張するな」
戻ってきた堀田に真鍋 吉乃と津野 汐美が声をかける。この後衛3人のほんわかした雰囲気を見つめながら戦士3人は大きく息を整えている。
「じゃあ、そろそろ行くよ。みんな作戦通りに落ち着いていこう」
隊長の深澤 拓海が全員に向かってこのように声をかけ、各々が真剣な表情で首を縦に振って意志を表す。これを確認した滝澤 雅昭が扉を蹴破り、部屋の中に侵入した。
「大爆発」
「無効」
津野の大爆発と真鍋の無効の呪文を亜獣よりも先に唱えることができ、1番厄介だと思われる魔術師を無効化することに成功した。これで残るは戦士と僧侶、忍者であり、滝澤と冨澤 智樹が僧侶に向かい、深澤が忍者と相対する。人数的にはまだ劣勢ではあるが、各自優勢に戦闘を進めているようだ。
「大爆発」
2発めの大爆発が僧侶に直撃し、もともとダメージを負っていた僧侶3体は消滅を始める。そこで滝澤と冨澤は忍者2体と戦っている深澤の援護に向かう。この後は忍者のクリティカル攻撃に注意しながら何とか倒すことに成功し、残る4体の戦士に苦戦しながらも倒し切ることに成功した。
「お疲れ様ー。物質回収します」
ご機嫌な雰囲気で堀田が物質の回収に向かう。まずは今倒した亜獣達から生成されるレア物質を回収している。その間にダメージを受けた戦士達は真鍋から回復を施してもらう。そしてレア物質回収を終えた堀田はこの部屋の奥にある収納の場所に移動する。ここには決まったレア物質が存在しており、その中にはこの迷宮クリアの鍵とも言えるブルーリボンが含まれるのである。
「ちょいまち、ガードするよ」
回復を終えた滝澤が堀田の場所へと移動する。罠の解除に失敗した場合に発生する飛矢や毒矢、爆発などは防具が薄い罠解除士には結構なダメージになる。なので、もし罠解除に失敗した時に備えて戦士がガードするのが一般的なのである。
「罠外せました」
滝沢の心配は杞憂に終わり、堀田は無事に収納の罠解除に成功した。そして蓋を開けて中を見ると、お決まりのブルーリボンと魔術師の杖、ドクロの指輪、薬草が入っている。このうち、魔術師の杖とドクロの指輪、薬草を堀田が回収し、そして滝澤に声をかけた。
「何か面白く収集してください」
急に意味がわからないことを言われ、滝澤は混乱する。収納の中にはブルーリボンのカードだけが残っており、後はこれを回収すれば今日の探索は終わりのはずである。
「え?普通に取っちゃだめなの?」
「だめです」
理由はわからないが、滝沢の言葉に対して堀田が少し強めに否定を返す。そこで滝澤はどうすれば良いか考え、1番初めに浮かんだフレーズを口ずさむ。
「ブルー、リッボン取るだけ♪」
「合格」
歌いながらカードを回収した滝沢に堀田は笑顔で言葉をかけたのであった。