1999年9月25日(土)
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「いやー、楽しいですねー」
「強くなったよなー」
満面の笑みを浮かべてビールをグイッと飲み干した大塚 仁の言葉を聞いて、前田 法重も感想を口にした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で店内は賑わっている。前田と取り巻きの連中達もいつもように飲み会を開始して、すでに出来上がっている状況である。プロ野球のパリーグペナントレースは大詰めを迎えており、本日デーゲームで2位の西武がオリックスに敗れたため、首位のダイエーが勝てば優勝という状況であった。そして先程日本ハム相手に5-4で勝利し、見事パリーグ優勝を決めているのである。1989年に南海ホークスからダイエーホークスとなり毎年厳しい戦いを続けてきたが、ついにリーグ優勝まで漕ぎ着けたのである。このメンバーの中では大塚がダイエーファンであり、この優勝に1番喜びを表しているのだ。
「我らーの我らのダイエーホークス〜」
あまりもの上機嫌で大塚がダイエーの応援歌を歌うと、店内には他にもダイエーファンがいるようであり、店内にダイエーの応援歌が響き渡る。テレビのニュースでもダイエー優勝の話題で持ちきりであり、この応援歌も先程から何度も流れてきているのだ。ちなみにセリーグはまだ優勝争いが続いており、現在の首位は中日で、それを巨人と横浜が追いかける展開となっている。
「でもダイエー対中日だと盛り上がらない気がする」
「そんなことないでしょう!って強く言えないところが辛い」
日本シリーズの展望について原田 公司が展望を述べると、それに大塚が微妙な感じで突っ込みを入れる。本来の希望であれば、監督が王監督なので、巨人との日本シリーズになって欲しい気がするのだ。
「ところで面白い話を思いついたんですけど」
トイレから戻ってきた本田 仁が何やら話があるらしく、言葉を発する。そこで一応全員が本田の話に耳を傾けることにする。
「今テレビ見てたらダイエーの選手がビールかけやってたんですよ」
トイレついでに少しテレビを見てきたらしく本田が説明する。
「みんなビールを掛け合って、泡で真っ白になってました」
「それが何か面白かったんですか?」
何を言いたいのかがいまいち理解できずに中尾 智史が尋ねてみる。すると本田が話を続けた。
「秋山も白かったですし、工藤も白かったですし、そして王も白かったです」
思った通りくだらないオチであったが、酔っ払っている状況だとこれぐらいくだらない方が逆に面白かったりするので、この話に対して全員が爆笑したのである。ちなみにこの王も白いという言い回しは、真っ白い犬の尾も白いと合わせて、今後冒険者組織の面白い話の定番となるのであった。