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1998年7月9日(木)

【熊大第1迷宮:いつかは最強いつでも最強部隊】
「じゃあ今日はこれまででいいかな」
 鹿本 芽衣に回復を行ってもらっている福永 菜月を眺めながら藤井 淳紀がこのように言葉を口にした。ここは熊大第1迷宮地下9階。本日いつかは最強いつでも最強部隊は地下9階を訪れて、まずボス部屋への扉の罠解除を宮本 紳が試した。無理そうな雰囲気が漂っていが、10分ほど過ぎて大きく息を吐いた宮本が解除できたことを隊員たちに報告する。それを聞いて全員で祝福し、本日からボス戦を行うことになったのである。地下9階のボスは筋肉であり、その強さは漏れ聞いている所である。十分な作戦を練った後、藤井、前村 亮二、福永の順に筋肉と闘い、先程福永がボロボロになりながらも筋肉を倒すことに成功したのである。かなりダメージを喰らったようなので、鹿本の回復にも時間がかかっている。
「物質回収終わりました」
 本日ボスの扉の罠の解除に成功して機嫌が良い宮本が、戻ってきてこのように告げる。それを聞いて藤井がサムズアップを行い、鹿本を見ると回復にもう少し時間がかかるようである。
「ところで亜香里たちまたレア亜獣に遭遇したみたいよ」
 待っている間の沈黙を嫌った大河原 美沙がこのような情報を口にする。昨日の午前中の鍛錬で、華撃団Ⅲ部隊の佐村 亜香里と一緒に鍛錬を行い、聞いた話である。そのレア亜獣とはレッザーラーモンのことであり、この部隊は一度も遭遇したことがないのだ。
「俺ら何か普通の亜獣ばっかりだったからな。ボス戦にも入ったし、レッザーラーモンとかひょっとことかは戦うことないかな」
「一度見てみたい気はしますけどね」
 藤井の言葉に前村が感想を続ける。もちろん見てみたいだけであり、戦ってみたいかどうかはまた別の話である。
「回復終わりました」
「芽衣ありがとね」
 回復が終わったことを鹿本が口にし、福永は丁寧に礼を行った。この後は決めていた通り探索を終了し、出口に向かうこととなった。

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