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1998年10月17日(土)
「18期よりは少し低めでしょうか」
「奇数期ですしね」
19期生の能力について大塚 仁が口を開き、中尾 智史がそれに言葉を続けた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れている。前田 法重ゼミのメンバーもいつものように大量の酒を消費している。今週から19期生の冒険者達が既存の冒険者達に合流し、同じ鍛錬場で鍛錬を行っている。19期生については今のところ教官がついて指導を行っているが、先輩に指導を依頼されることも多々ある。この中では戦士の中尾 智史、罠解除士の大塚は良く依頼を受けて指導を行っている。他のメンバーはどうなのかといえば、前田 法重と中島 一州は新人の依頼を受けることはあまりない。その理由としてはこの2人には依頼しにくいとかではなく、単にもう少し下に依頼しやすいメンバーがいるのだ。原田 公司は喰らう系の戦士であるので、喰らう系の戦士がいる場合は依頼がくることもある。だが、避ける系や受ける系の戦士を指導することはあまりなく、喰らう系を選ぶ戦士の数はかなり少数なので、結果あまり指導を行うことはない。最後に本田 仁であるが、本田も教官から指導を依頼されることはない。理由は良くわからないが、それが当たり前の様になっているからが理由なのかもれない。すなわち黒髪てへトリオ部隊で後輩の指導を積極的に行っているのは大塚と中尾の2人ということになる。
「まあ引き続き頼むぞ。第3迷宮の18期も含めてまだまだ油断出来んからな」
真面目な表情で前田はこのように口にし、コップのビールを一気に口に流し込んだ。