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1999年8月31日(火)
【戦士鍛錬場:原田 公司・大島 清吾】
「まあ仕方ないところはありますよね」
真剣な表情で大島 清吾がこのように言葉を漏らした。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。本日朝から合同で鍛錬を行っている黒髪てへトリオ部隊と>>1さん部隊であるが、現在は前田 法重と中尾 智史、宮崎 桃と飯島 桜が模擬戦を行っている。原田 公司と大島は休憩中であり、他のメンバーの模擬戦をのんびりと眺めているところだ。そして原田は改めて鍛錬場全体を見渡してみたが、以前から気にはしていたが、やはり喰らう人として模擬戦を行っている者はいない。現在自分と大島以降で専門的に喰らう人を選択している戦士は皆無なのである。もちろん柱として喰らう人の戦いを使用するものもいるし、避ける人に限界を感じて喰らう人に進路変更を試みた者もいる。だが、喰らう人の成長曲線の遅さに耐えられず、喰らう人を諦めて受ける人へと変更してしまうのである。その結果現在の戦士鍛錬場では避ける人か受ける人が主流であり、喰らう人は絶滅危惧種となる危険がある。見た目に泥臭く、優勢に戦っているのがわかりにくいところも新人の戦士達が毛嫌いする原因なのであろう。
「まあな。俺も初めは避ける人に限界を感じて喰らう人にシフトしたからな」
「俺も同期に飯島さんいるから、避ける才能では一生叶わないと思ったんですよね」
結論的に現在喰らう人になっている原田と大島は、選択した理由を思いだす。この2人を持ってしても喰らう人に魅力を感じたりというわけではなく、避ける人での限界を感じたという理由で喰らう人になっているのだ。
「でも受ける人はやりたくなかったからな」
「基本片手剣ですからね」
受ける人という選択肢を選ばなかったことを原田が口にし、大島もそれに言葉を続けた。避ける人以外の選択肢である受ける人と喰らう人の1番大きな相違点は両手剣を使うか片手剣を使うかということに尽きる。攻撃重視の戦士は両手剣を使いたいので、避ける人かもしくは喰らう人の二択になる。ここで片手剣でも良いという妥協をして初めて受ける人の選択肢が出てくるのである。ただ、喰らう人の中でも軽いタイプの軽喰と受ける人の軽いタイプである軽受はあまり明確な区分けが出来ておらず、実際軽受を選択したメンバーには両手剣を使用するものもいるのである。このあたりの戦法の相違については今後きちんと分類される必要があるが、現在はなあなあのまま、今の状況となってしまっている。