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2000年1月14日(金)

【熊大第1迷宮:勇者王ガオガイガー部隊】
「ガガガ、ガガガガオガイガー♪」
「ご機嫌やな」
 本日の探索を終えて出口に向かう道中、結構な音量で鼻歌を歌っている羽田 晴信に向かって木寺 菜緒美が軽く呆れながら突っ込みを入れた。ここは熊大迷宮。勇者王ガオガイガー部隊は本日も地下7階のボスであるペケの部屋を訪れた。先週までの探索で、戦士3人のうち木寺と下里 由理子はすでにクリアしており、残るは羽田1人という状況であった。本日の1戦目時点では見た感じまだダメージを喰らっているようであり、クリアするのはまだ先になるかと思われていた。だが、2戦目に何か手応えを掴んだ羽田は、ペケとの3戦目ではかするぐらいの攻撃を1回だけという状況だったので、次でクリアできるのではとの期待が高まったのである。そして4回目のカエルの彫像を移動した際にペケは例の言葉を発したのである。
「羽田、お前が帰ってくるのを待っていた」
 こう言葉を発した後で少しずつ消滅していくペケを見て羽田は大きく息を吐く。そして後ろを振り返ると部隊のメンバーたち全員が祝福してくれているので、全力のサムズアップを返したのである。この後はもう少し通常亜獣を狩るか、地下8階に降りるか、探索を終えるかの選択肢となり、羽田の疲労具合から今日はもう探索を終える選択にした。そして出口に向かってゆっくり歩いている際に羽田が歌を口ずさんだのである。
「いやー、ご機嫌だよ。クリアしてスッキリしたし」
「確かにね。クリアするとテンション爆上がるよね」
 笑顔を浮かべて言葉を発した羽田に、木寺も笑顔で返事を返す。戦士に取ってボスを倒すことの達成感は尋常ではなく、特に1対1で戦う奇数階では絶大な満足感を得ることが出来るのだ。
「じゃあご機嫌ついでに昼飯奢ってー」
「おう、俺がなんでも奢ったるー」
 後方から坂野 幸美がかけてきた言葉に右手を真上にあげてサムズアップを返した羽田がこう叫んだので、この後は全員で『南食レストラン』に向かい、食事の代金は全額羽田が払ったのであった。

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