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1999年10月30日(土)
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「いやー、ダイエー強かったよな」
「面白かったですよね」
乾杯の盛り上がりがひと段落ついた後で発した原田 公司の言葉に、本田 仁が感想を続けた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で賑わっている。前田 法重と取り巻きのメンバー達もいつものように宴会を開始している。木曜日に行われたプロ野球日本シリーズ第5戦。ここまで3勝1敗とリードしていたダイエーが、敵地ナゴヤドームで中日を6対4で破り、前身である南海時代を含めて35年ぶり3度目、ダイエーとしては初めての日本一となったのである。このメンバーの中では大塚 仁がダイエーファンであり、木曜日はダイエーファンの友達と一緒に飲みに飲んで、金曜日の探索の時には少し二日酔い状態であった。だが、そのような事はこれまでも日常茶飯事なので文句を言うようなものはここにはいないのである。ちなみに先程本田が発した面白かったと言う発言は、試合が面白かったという意味もあるが、パリーグ優勝の時に話題になったビールかけで王監督も泡で白くなる状態のことを、王も白いと言ったことをかけていることに全員が気づいていたが、誰も反応せずスルーされている。
「ところで来週は黒髪祭ですね」
「そうだよな。一年はえーな」
日本シリーズの話題が落ち着いたので次の話題を中尾 智史が提供し、それに前田が感慨深く返事を返す。11月の頭に毎年冒険者地区では黒髪祭という祭りが盛大に行われる。この祭りはもともと移転する前の熊本大学で行われていたもので、熊大が武蔵ヶ丘に移転した後は、冒険者組織が主宰として、地域住民と一緒に祭りを開催している。今年は11月5日から7日の日程になっており、これは熊本大学で行われる熊粋祭と同じ日程となっている。
「前田くんはまた飲み過ぎに注意しないとね」
「まあ、一応気をつけますね」
毎日尋常ではない量のお酒を飲んでいるが、イベント時にはその量がさらに増えることに関して中島 一州が少し心配そうに声をかけ、それに前田は真面目に返事を返す。お酒を飲み過ぎたことによって体調を崩した事はないので、おそらくどれだけ飲んでも体を壊すような事はないと感じている。ただ、それは今まで限界まで飲んだことがないだけであり、もし限界まで飲んだら体に何らかの異変を感じるのかもしれない。ただ、前田が限界を感じる量というのは計り知れず、もしかしたらそれは無限なのかもしれないと考えてしまう周りのメンバー達であった。