1999年3月31日(水)
【熊大第2迷宮:>>1さん部隊】
「何か退屈ー」
「まあまあ無事これ名馬ですよ」
思わず叫んだ宮崎 桃の言葉を聞いて、飯島 桜が苦笑しながら返事を返した。ここは熊大第2迷宮。本日も>>1さん部隊は第2迷宮地下1階を訪れており、ここまで4回ほど亜獣との戦闘を行っている。第2迷宮地下1階の亜獣の特徴として、魔法攻撃が効くか効かないかの2つに分類される。魔法が効く亜獣は魔術師の細川 舞美や僧侶の宮崎 藍の攻撃魔法でほぼ撃退できるので、魔法を打つだけで終わることが多い。そして魔法が効かない亜獣に関しては前衛の戦士3人が肉弾戦を行なって殲滅するのだ。本日4回出会った亜獣は全て魔法が効くタイプの亜獣だったので、戦士3人には出番がなく、戦いたくて仕方がない桃が不満を述べたのである。
「魔法で倒せるならそれに越したことはない」
普段あまり話さない大島 清吾も桃がイラついているのを感じて声をかける。確かにそれはわかっているのであるが、体がウズウズするのである。
「すいませんねー。何かわがままで」
姉の騒々しさに妹の藍がため息を吐きながら詫びを入れる。ただ、これに関しては今に始まったことでもないので全員特に気にはしていない。そうこうしていると森下 翼が物質回収を終えて戻ってきた。
「桃ちゃん。叫んでたのこっちにも聞こえてたよ」
笑いながら桃に声をかけるが、まだ桃は不機嫌なままのようである。
「じゃあ、もし次の亜獣も魔法レジストない亜獣だったら探索の後ケーキ奢ってあげるから機嫌なおして」
「え、本当、やったー」
隊員の気持ちを落ち着かせるのも隊長の仕事だと思い、森下がこのような提案をし、それを聞いた桃は急に機嫌を直し笑顔を浮かべる。結果、次に出会った亜獣も魔法レジストがない亜獣だったので、探索の後、森下は桃にケーキを奢ることになったのである。