1999年7月20日(火)
【国道3号線:大島 清吾・宮崎 桃・飯島 桜・森下 翼・宮崎 藍・細川 舞美】
「イエーい!ヒュー!ありがとー」
「まじ失礼なやつらやな」
車内の盛り上がりに反して運転手の大島 清吾は大きくため息を吐きながら言葉を漏らした。ここは国道3号線。本日は海の日ということで、御立岬に海水浴に出かけた>>1さん部隊のメンバーたちであるが、夕方までいると道が混むのが予想されたので、ある程度早く御立岬を出て、熊本へと戻る道すがらである。現在運転してるのは大島であるが、その理由としてはメンバー全員車が所持しているものの、6人乗れるのが大島のアルフォードだけなので、このメンバーで出かける時はいつも大島が車を出しているのだ。ある程度早い時間に出たとはいえ、3号線はやっぱり渋滞しており、なかなか車が進まず車内はどんよりしてくる。ただでさえ海で遊んできているので疲労感もあり、ややすると眠くなってしまうのだ。だが、大島が頑張って運転しているのに自分達が寝るのは同じ冒険者部隊の仲間としてあり得ないと考えた森下はなんとか眠気を吹き飛ばす遊びを色々と考えるが、特に良いものは浮かばず、まったりとした雰囲気で、全員が睡魔と戦う状況が続いた。
「あ、消し忘れてた」
対向車のパッシングに気づいた大島が、こう言葉を漏らしてライトのスイッチをオフにする。どうも先程赤松トンネルから出た時にライトを切り忘れたようである。これを見て助手席に座っている森下はある遊びを思いつく。
「ライトをつけて走ってパッシングしてくれた車に盛大に感謝しようゲームやろうぜ」
初めて聞く名前のゲームであるが、この森下の言葉を聞いてルールがわからない者はいない様子である。全員眠いのを我慢している状況でもあり、眠気覚ましになりそうなので全員が了承する。
「てことで清吾よろしく」
こう森下に言われた大島であるが、大島自体はこのようなことはあまり好きではない。パッシングしてくれた対向車の親切を蔑ろにしているような気がするからだ。ただ、車内のどんよりした空気も感じているので仕方なくライトをオンにする。現在熊本市方面に向かう側は渋滞のせいで車がなかなか進まないが、対向車線は空いておりまったく渋滞はしていない。そしてしばらくして対向車が優しくパッシングしてくれた瞬間に車内には大喝采が起きたのである。