見出し画像

1999年12月8日(水)

【冒険者組織南地区:原田 公司・中尾 智史】
「どうみてもカップルですよねえ」
「それ以外に見える人がいたら教えて欲しいわ」
 目の前の状況を見つめながら中尾 智史が言葉を漏らし、それに原田 公司も感想を続けた。ここは冒険者組織南地区。本日午前中は戦士鍛錬場で鍛錬を行った原田と中尾であるが、先ほど鍛錬を終了し、昼ごはんを食べにレストラン『北食2階』に向かっているところである。気温は低いが良い天気であり、太陽の日差しを浴びながらのんびりと移動していると、目の前に帰宅中の別の冒険者が目に入ったのである。その二人は笑顔で話をしながら並んで県道337号線方面へと歩いて行き、門を出た後は子飼橋方面である左に曲がった。ちなみにこの2人とは本田 仁と水井 華代のことである。
「でも本田に聞いても付き合っては無いって言うんだよね」
「スロ友達を推して来ますもんね」
 知っている情報を原田が口にし、中尾もよく聞く話を口にする。本田は以前からスロットが大好きであり、昔は前田 法重や原田、富田 剛辺りと一緒に良くスロットを打ちに行っていた。ただその辺りのメンバーが結婚をしたので、以前ほど頻繁には一緒に打ちに行けなくなったのである。そこに来て以前付き合っていた彼氏と毎日スロットに通っていた水井が一緒にスロットを打ちに行く人を探していので、利害が見事に一致したのである。なので、平日の午後はほぼ毎日、土日祝日も予定がない日はほぼ1日一緒にスロットを打っているのである。
「でも良くわからないんだよな。彼女とスロットを打つという感覚が。経験がないから」
「俺もなんすよね。多分前田さんも富田さんもそうじゃないですかね」
 彼女と一緒にスロットを打つという行為について原田が私見を口にし、中尾も同じ意見であることを吐露する。彼女と同じ趣味を持つことは望ましいとは思うが、それがスロットだとどうなのかと考えなくはないのである。
「とにかく本田もそろそろ結婚せんもんかね」
「きっかけがあれば案外サクッとしそうですが」
 横断歩道を渡った後で原田が口にした言葉に、中尾が思っていることを口にした。この後2人は『北食2階』に移動して昼食を取る。そしてその後は少しだけゲームセンター『スタジオ』に寄ってから家に帰ったのであった。

いいなと思ったら応援しよう!