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2024年12月4日(水)《GB》

《ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。出勤中に見る高校生などまさにこれだよなあ》
【東薬局:立石 啓二・立石 沙羅・立石 麗奈】
「今でしたー」
「あ、おかえりー」
 店の入り口から入ってきた立石 沙羅に立石 啓二が軽く声をかけた。ここは『東薬局』。本日も処方箋を持った患者さんがぼちぼちと言った感じで来局している。この時期中学3年生は高校入試の出願時期であり、志望校を決めて受験する高校に受験の申し込みを行わないといけない。立石 麗奈が通う人吉第一中学校でも現在三者面談が行われており、中学3年生が先生と保護者と一緒に志望校を確定する時期である。本日の15時から麗奈も三者面談の予定が組まれていたので、母親の沙羅が学校に向かい、その間は立石が一人で薬局を見ていたのである。戻ってきた沙羅は特に休憩することもなく、服を着替えてすぐに薬局業務へと入った。ちなみに麗奈も一緒に学校から戻ってきたが、玄関から家の中に入ったので薬局には顔を出していないのである。
「問題なかった?」
「特に。それでいいですよって言われた」
 面談の結果について立石が軽く質問し、沙羅が問題なかったことを説明する。麗奈の志望校はまず1月22日に私立の特待生試験で真和高校、そして2月1日の公立前期で済々黌を受験する。前期で合格すれば受験はこれで終了となるが、前期に不合格だった場合で、かつ真和も不合格だった場合は私立の一般試験で2月13日に再度真和、2月14日にルーテル学院を受験する。そして公立後期も済々黌を受験する予定となっている。
「ところで富田さんのところは大丈夫なんだよね」
 いちおう確認する感じで沙羅が質問する。どこの高校に通うとしてもここ人吉からでは距離的に通うことが出来ないので熊本市に出ていかないと行けない。その際に富田 剛の家に下宿をさせてもらうような話を以前聞いていたのである。
「あ、大丈夫やと思うよ。部屋が1つ空いてるっていってたけん。でも一応再度確認しとくよ」
 こう話していると処方箋を持ったなじみのおばあちゃんがやってきたので、立石は満面の笑みを浮かべて処方箋を受け取りながら、世間話に花を咲かせるのであった。

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