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1999年11月23日(火)

【前島邸:前島 瑠衣・島田 笠音・太田 香澄・左村 亜香里】
「え、笠音って彼氏いるの?」
「そんなに驚かなくても良くない?」
 驚愕の表情を浮かべて前島 瑠衣が言葉を発し、それを聞いた島田 笠音は冷静に返事を返した。ここは前島邸。本日午前中は迷宮を探索した華撃団Ⅲ部隊の前島、島田、太田 香純、佐村 亜香里の4人であるが、同じ部隊の倉本 憲伸と高倉 蘭馬と一緒に『南食レストラン』で食事を取った後、男性陣2名とはそこで別れる。そしてこの後何をしようかと考えた末に、前島の部屋で女子会をしようという話になり、いろいろ食べ物や飲み物、お酒などを買い込んで来たのである。まだ時間も早いのでお酒には手を出しておらず、お菓子とソフトドリンクを食べながらいろいろな話をしている所だ。その話の中で各自の恋愛事情の話題になったのだが、島田に付き合っている男性がいることが判明し、他の3人が驚いたのである。それは別に島田に彼氏がいることが不思議だという話ではなく、特に前島は13期の同期で部隊も同じであり、これまで長い期間一緒の時間を過ごしてきている。だがその中で島田から男性の話題が出たことは一度もなく、男性に興味がないとのイメージを強く持っていたのだ。
「で、お相手は誰なんですか?私たちが知ってる人?」
 ワクワクした表情で左村が質問する。頭の中では勝手にいろいろな男性を想像するが、決定打が見つからない。まさか同じ部隊の倉本と高倉のどちらかなのだろうか。何かドキドキしてくる。
「えっと、たぶん知らないと思う。組織の職員なんだけど」
 相変わらず落ち着いた表情で島田が淡々と口にする。これを聞いて彼氏が身近な冒険者じゃなかったことに3人は少し残念そうな表情を浮かべる。
「お名前は?」
「黒瀬 満彦さん。年は私の5つ上かな」
 太田の質問に対して島田が名前と年齢の情報を口にする。この後もいろいろと質問攻めを受けたが、実のところ一般的な恋人同士とはかなり違う恋愛の形をしており、周りのメンバー達も良く理解ができないまま、次は前島の恋愛話に移行したのであった。

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