
1999年8月27日(金)
【熊大第1迷宮:カードキャプター部隊】
「やばかったな」
「ちょっと舐めてたね」
回復を受けながら発した外口 デニムの言葉に、澤口 忍が返事を返した。ここは熊大第1迷宮。カードキャプター部隊は本日も地下3階の探索を行っている。いつものようにボス部屋と地下4階に降りる階段の手前にある扉の罠を高村 佳子が解除を試し、解除が出来ないことは確認している。その後、通常亜獣を狩るべく南西エリアを彷徨いていたのだ。すると6体の亜獣と遭遇し、その亜獣が本鬼2体と盗賊2体、魔術師2体だったのである。本鬼の危険度は何度も話に聞いていたので、部隊全員で集中して戦闘に向かう。本鬼2体を外口と澤口で何とか凌ぎつつ、呪文と丸山 静江で残りの4体を殲滅しようとするが、意外とそこに手間取ってしまう。その間に澤口が本鬼からかなり大きなダメージを喰らってしまい、一時撤退。外口が本鬼2体を相手する状況となる。外口は一旦防御に専念し、時間を稼ぐ戦法を取る。そして田辺 睦美の2発目の攻撃魔法により、本鬼以外の亜獣は何とか消滅に成功した。この後、回復が完了した澤口が戦線に復帰し、代わりに丸山が回復のために一時撤退する。これで本鬼2体対外口、澤口と初手の状況に戻ったことになる。この後はダメージを喰らう澤口と丸山が交代で回復しつつ戦闘を続け、何発目かの攻撃魔法を唱えたタイミングで本鬼は苦しい叫び声と共に消滅していった。そして、現在高村が物質を回収し、戦士3人が大下 界に回復呪文をかけてもらっているのである。
「でもデニムはやっぱりすごいね。1人で戦線を維持してたからね」
「いや、流石に守るのに手一杯で全く攻撃できなかった。まだまだだよ」
1人で2体の本鬼を相手にしていた外口の戦闘を評価した澤口の声を聞いて、自分では納得がいっていないような返事を返す。正直防御に必死であり、反撃をする余裕は全くなかった。であれば、自分1人であればいずれ負けていたということになる。
「良し、回復終わり」
「回収も終了ですー」
順番に行っていた回復が終わったことを大下が告げ、そのタイミングで高村も帰ってきた。
「じゃあ今日は帰ろうか」
流石に本鬼戦で体力をほぼ使い切っているので、これ以上の地下3階探索は不要と判断し、この外口の発言の後で、部隊は階段へと向けて移動を始めたのである。