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1999年11月5日(金)

【黒髪祭:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「それでは今年も黒髪祭盛り上がりましょう。カンパーイ」
 乾杯大臣の原田 公司の元気な叫び声によって、今年の黒髪祭の飲み会が開始された。ここは冒険者組織北地区。旧熊大生協の北側にある空きスペースに今年も黒髪てへトリオ部隊専用のテントが設営されている。本日から3日間、冒険者組織地区では地域住民との交流を目的とした黒髪祭が実施される。もともとここにテントを立てていたのは前田や中島が熊大生時代に所属していた某サークルRであり、熊大が武蔵ヶ丘に移転した後は冒険者組織の好意でここにテントを立ててもらっているのである。ちなみに冒険者組織では黒髪祭が実施されているが、熊大では同日程で熊粋祭が行われているので、現役大学生の冒険者達はどちらに参加するか頭を悩ませることになる。ただとっくに大学を卒業しているこのメンバー達には関係のない話であり、これから3日間大好きなお酒を浴びる程飲める舞台が整っているので、1年間探索で疲れた体をこの3日間でゆっくり癒すのである。
「にしても今日も寒いよな」
「まあこの時期は寒いっすよ」
 こたつに両手を突っ込みながら漏らした前田の言葉に大塚 仁が返事を返す。今日の熊本は良い天気ではあるが、最低気温は6.8度で日中も18.3度までしか上がらない予報である。黒髪祭が開始される3日間天気は良さそうであるが、それなりに寒い予報なので、美味しく熱燗がいただけそうだ。
「前田くんは3日間テントにいるの?」
 黒髪祭期間の予定を中島 一州が質問する。それに前田が少し考えて返事を返す。
「流石に風呂には入りに帰りますけど、ほとんどテントにいると思いますよ。ぶらっと誰かが会いに来るかもしれないですからね」
「そうなんだ。ということで本田くんよろしくね」
「俺っすか?」
 予定を聞いた中島が黒髪祭の間、前田の相手をすることを依頼し、それに本田 仁が衝撃の表情で突っ込みを入れた。去年も同じ状況ではあったが、本田以外のメンバーは結婚して子供もいるので、流石に三日三晩相手をするのは厳しいのである。なので、本田も自分が一緒にいることは元々考えてはいたが、それが当然のように言われたので一応驚いて見せたのであった。

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