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1997年2月11日(火)《BN》
【スタジオ:富田 剛・本田 仁】
「ブロッキング、ストッピング、パーリング、スウェーイング、ダッキング、レッドキング!」
「何でしたっけ、それ、奇面組でしたっけ」
ブツブツと何かを呟いた富田 剛の言葉に、少し考えた後で本田 仁が返事を返した。ここはゲームセンター『スタジオ』。夕方過ぎの時間であり、たくさんの客がいるが店内は何となく落ち着いた雰囲気である。本日は建国記念日で祝日のため、朝から一緒にスロットを打ちに行っていた富田と本田であるが、2人揃って不調だったので早めに黒髪に戻ってきた。そして対戦ゲームでもしようかと『スタジオ』にやってきたのである。すると新しいゲームとして『ストリートファイターⅢ』が入荷されており、他のプレイヤーが対戦している様子が上方にあるディスプレイに表示されているのを眺めているのだ。ストⅢにはいくつかの新たなシステムが導入されているが、その中でも1番ストⅢらしいシステムと言えるのがブロッキングである。これは相手の攻撃に対してレバーを入れることで、ガードすることなく攻撃を受け止めるものである。ガードするよりも硬直が短いのでその後の展開を有利に進めることが出来るのだ。このブロッキングという新しい要素の名称に対して、富田が某有名漫画の1シーンを口にしたのである。
「面白そうかね?どう思う」
「わからないっすね。ちょっとやりこんでみますね」
画面を見つめながら今いちしっくりきていなさそうな富田の質問に、本田も微妙な口調で返事を返す。ストⅡシリーズ、ストZEROシリーズとも少し異なったグラフィックに多少の違和感を感じているようである。この後もしばらく対戦を眺めていたが、自分たちも対戦がしたくなったので、店内を見渡して誰も座っていないストⅡXの台に座り、対戦を始めることにした。
「じゃあ俺サガットからね」
「了解です。ベガから行きます」
このように会話をして富田と本田は、サガットとベガを選択して対戦がスタートする。そして負けた方はキャラ選択を1つずつ左にずらして、最終的にはリュウとケンに行き着くのである。本田はメインキャラがリュウで、富田はメインキャラがキャミイだが、元々のメインキャラはケンである。お互いにメインのキャラ以外はそこまでやりこんでいないのもあり、最終的には結局リュウ対ケンの戦いになるのであった。