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1999年8月28日(土)
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「いやー、芸能界は闇が深いよね」
「おいら芸能人は歯が命なら知ってるけどな」
最近の話題について中島 一州が口にした言葉を聞いて、本田 仁が某有名CMの名台詞を引用して返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で店内は大賑わいである。前田 法重とついでのメンバーたちもいつものように宴会を開始し、いつものように盛り上がっている。現在巷で話題になっているニュースはシンガーソングライターの槙原 敬之さんが覚醒剤取締法違反で逮捕されたとのことである。聞いた人に元気を与える槇原さんの歌には熱烈なファンの方も多く、また、素朴で真面目な雰囲気も相まって、まさか覚醒剤を使用するなどというのは想像がつかないのである。ただ、そもそも覚醒剤などは普通に生活していれば全くといって良いほど接点が生じることはない。それが歌手として芸能界で成功していることで、本人が望む望まないに関わらず、そのようなことに巻き込まれてしまうこともあるのだろう。まさに芸能界の闇という言葉が相応しいのである。
「でも俺たちも無駄に金はあるから気をつけないといけないですよね」
生ビールを飲み干した後で中尾 智史が口にする。覚醒剤に限らず犯罪というものはお金がある所に集まってくる特性がある。あまり大っぴらにはされていないが冒険者の収入はかなり高く、それを狙われると少し厄介なのである。
「まあ、でも俺らそんなに悩むことないですし」
「えっと、俺らじゃなくて俺ですよね」
苦しい悩みを忘れさせるという意味で覚醒剤を使うのであれば、自分達には不要なものだと原田 公司が発言したが、ここにいる全員が悩みがないという言い方に本田が軽く突っ込みを入れる。確かに原田には悩みがないかもしれないが、それ以外のメンバーには大なり小なり多少の悩みはあるのである。
「でもマッキーも更生して復帰してほしいよな」
特に槇原さんのファンというわけではではないが、歌自体には共感できるところもあるので、前田が復帰してほしいとの願望を口にする。この意見についてはここにいる全員が同じことを思っているだろう。
「もうー薬なんてしないなんてー言わないよ絶対ー」
「するやん!!」
少し歌詞の意味を勘違いしており、薬をしないという意味になると思いながら歌った原田の歌を聞いて、大塚 仁が音速を超えた速さで突っ込みを入れたのである。