1996年10月24日(木)《BN》
【魔術師鍛錬場:秋野 麻生・相場 昌一・今田 和敏・夏川 千歳・秋月 聖奈】
「あ、多分出来た」
目の前で起きた現象を見つめながら秋野 麻生が言葉を漏らした。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。朝から一緒に鍛錬を行っていた11期の魔術師達であるが、最近は大吹雪の呪文詠唱を目指して全員で競い合っている。そして今、秋野が起こした現象が吹雪よりも気温の変化が微妙に大きいと感じたのである。
「あ、秋野ちゃん出来た感じ?」
何となく雰囲気を感じた夏川 千歳が声をかけ、これを聞いた相場 昌一と今田 和敏も秋野に視線を向ける。
「多分だけどね。何か吹雪とは少し現象が違うみたいなの」
こう言って秋野は先程起こした現象を再度発生させてみる。すると確かに吹雪の現象とは相違があるようだが、これが大吹雪の現象なのかどうかの判断がつかない。それはもちろん11期では誰もまだ大吹雪を唱えることが出来ていないことに起因する。
「ちょっと誰か呼んでくるね」
大吹雪の現象を知ってる人が見ればすぐに判断ができるので、近くで鍛錬している先輩を1人連れてくる。連れてこられたのは10期の秋月 聖奈であった。
「じゃあもう一度やってみます」
こう言って秋野が再度現象を起こしてみると、それを見た秋月は笑顔を浮かべて口を開く。
「麻生ちゃん。おめでとう、大吹雪で間違い無いわよ」
この言葉を聞いた秋野は大きく息を吐いて、満足げな表情を浮かべる。そして11期の3人は秋野を祝福するのであった。この後、現象を理解した夏川と相場、今田は自分も後に続けとばかりに集中して鍛錬を続けたが、本日の鍛錬終了までにその現象を起こすことは出来なかったのである。