
2024年10月11日(金)《GB》
《71期の合格発表。70期辺りから変な能力者が増えてますが、どうなるのかはまだ考えてません》
【冒険者組織1階掲示板】
◆下記の者を採用者とする
第71期冒険者合格者一覧
《戦士》
秋野 康臣
朝比奈 朋哉
泉山 和正
井本 緩奈
木島 百利
栗栖 隆治
駒井 牡一郎
坂野 道夫
末廣 歌穂
梵 克成
坪田 知可
松宮 貢
御園 貴恵
三矢 義英
横川 晴恵
《僧侶》
浦崎 真奈実
楠本 静加
夏目 一雅
三代 貴彦
長谷 一政
《魔術師》
熊野 典恵
桑山 晴恵
静 高広
滝口 信乃
夕陽 茜
《罠解除士》
熱田 千幸
押谷 圭司
九鬼 浩司
楠本 千佐
宮越 千早
本日16時より入所式をおこない、その後懇親会を実施いたしますので、ご参加ください。
【冒険者組織2階大ホール①:夕陽 茜・楠本 千佐・楠本 静加】
「あ、茜さんだー」
「千佐ちゃん、静加ちゃんこんにちは」
懇親会の開会を待っている間に楠本姉妹に声をかけられた夕陽 茜は明るい声で返事を返した。ここは冒険者組織2階大ホール。先程まで会議室で入所式が行われており、それが終わった後で合格者たちは大ホールへと移動したのである。話には聞いていたが、食べ物、飲み物、デザートなど最高級の物が用意されており、全員が懇親会の開始を待ちかねている状況である。
「そういえば茜さんいつも狼くん出してるよね」
「え?これって引っ込めたりできるの?」
疑問を呈した楠本 千佐の言葉を聞いて夕陽は驚いた表情を浮かべる。この狼は物心がついた頃からずっと一緒であり、つねに自分の周りを彷徨いているイメージで合った。これが引っ込めることが出来るなどというのは全く考えたことがなかったのである。でも確かに現在楠本姉妹の周りにそれらしき物は出現していない。おそらく体内に引っ込めているのであろう。
「やり方教えるね」
こう言って千佐は自分の体内から虎を出現させる。この虎を見た夕陽の狼たちは一瞬唸るような表情を見せたが、すぐに落ち着いた状況に戻った。
「大きく息を吐きながら、体全体で吸収するイメージを頭に浮かべます」
こう言って大きく息を吐いていくと、出現した虎は次第に千佐の体に吸収され、姿を消した。
「おお、すごい。やってみようかな」
見様見真似で夕陽が同じようにやってみると、意外と簡単に狼を体内に吸収することができた。
「茜さん、お見事です」
笑顔を浮かべながら楠本 静加が声をかけてきたので、夕陽も笑顔を返したのであった。
【冒険者組織2階大ホール②:秋野 康臣・三矢 義英・夕陽 茜・楠本 千佐・楠本 静加】
「とりあえず5人揃ったな」
「何か戦隊モノみたいですよね」
美味しい料理とお酒を嗜みながら秋野 康臣が発した言葉を聞いて、楠本 千佐が思いついたことを口にした。懇親会が始まってだいぶん時間が過ぎており、いろいろな場所で合格者たちが集まって歓談を行っている。この懇親会はもちろん合格者へのお祝いの意味もあるが、今後部隊を組まないといけない合格者達への機会の提供でもある。先程まで夕陽 茜と楠本 千佐、楠本 静加は3人でのんびり飲んだり食べたりしていたが、そこに秋野と三矢 義英が話しかけてきたのである。初めは部隊メンバーのお誘いかと思って話をしていたが、実は先程狼や虎を出したり引っ込めたりしていたのを2人に見られていたのである。ということはこの2人も能力者ということになり、お互いの情報の交換も話題に含まれている。
「俺たちこいつをウームって呼んでるんだ」
自分のすぐ右側に立っているミノタウロスを見つめながら秋野が口にする。この5人が発現させる物の名称はもちろん特に決まっている物ではない。夕陽や楠本姉妹は特に名称を考えることもなく、狼や虎、ドラゴンなどと読んでいたのである。もちろん秋野もミノタウロスを単体で呼ぶ時はミノと呼ぶが、この出現する物体を総称してウームと読んでいるのである。
「ちなみにウームの語源はそこに有るようで無いものなので有無からウームって名付けた」
名前の理由を秋野が説明する。これを聞いた夕陽と楠本姉妹は何となくしっくりくる名称と感じたので、この名称に文句はなく自分たちも今後はウームと呼ぶことに決めた。
「ところで三矢くんのウームも見せてもらって良い?」
自分たちのウームである狼、虎、ブルードラゴン、ミノタウロスは発現させているが、三矢のウームが見当たらないので夕陽が質問してみる。すると三矢は何かを抱くような仕草をして、そこにウームを出現させた。
「あ、可愛いー」
出現した真っ白いウサギを見て女子3人は思わず声を発し、ウサギは驚いたような表情を浮かべて3人を見つめ返したのであった。