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2000年2月9日(水)
【罠解除士鍛錬場:前島 瑠衣・市井 小雪・南原 絵里佳】
「それでは少し休憩しましょう」
「はーい」
休憩を提案した前島 瑠衣の言葉を聞いて、市井 小雪と南原 絵里佳は元気に返事を返した。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。師匠である前島は弟子の市井と南原と一緒に鍛錬を行っており、今から少し休憩を取るところである。前島は13期であり、罠解除技術としては罠解除装置のレベル13まで解除ができるようになっている。そして20期の市井はレベル3、21期の南原はレベル2の解除が出来るように日々鍛錬を行っているのだ。
「前島さん、1つ聞いて良いですか?」
「どうしたの?」
ベンチに座って水分補給をしながら市井がかけてきた質問に、前島が返事を返す。先程までの鍛錬で何か疑問に感じるようなことはなかったはずと考えていたが、何か気になるところがあったのだろうか。
「実はですね。もうすぐバレンタインじゃないですか」
軽く笑顔を浮かべながら市井がこう口にする。こう聞かれた前島は質問の意図が分からずに、次の言葉を待つことにする。
「私冒険者になって初めてのバレンタインなので、みなさんどのような感じなのかを知りたくて」
「あ、それ私も知りたい」
冒険者組織のバレンタイン事情についての質問を市井が口にして、それを聞いた南原もこの話題に興味あるようだ。
「どのような・・・ねえ」
今までのバレンタインを思い出しながら前島が言葉を漏らす。そしてしばらく考えた後で口を開いた。
「各個人の気持ちで良いのは間違いないけど、お世話になった人には結構配る感じかな。だから朝からチョコレート大量に持ってきている人が多いわよ。私はあまり配らないけどね」
「わかりました。ありがとうございます。週末に買い物に行って大量に仕入れてきます」
「私もです」
毎年の状況を聞いた市井と南原はそうであれば自分たちもたくさんのチョコを配ろうと考え、週末にチョコレートを大量に買いに行くことを決めたのであった。