1996年11月18日(月)《BN》
【熊大迷宮:人類補完計画部隊】
「とりあえず近くに亜獣はいないみたいです」
周辺に亜獣がいるかどうかを探知した新藤 麻乃がこのように報告をした。ここは熊大迷宮。本日から探索を開始する人類補完計画部隊であるが、現在迷宮入り口から中に入ってすぐのところにいる。迷宮の特殊な空間の圧力を感じつつ、とりあえず近辺の亜獣の存在を新藤が確認したのだ。
「OK。じゃあ事前に話し合っていた通り、北側の通路を進んでいきます」
このように隊長の高宮 太輔が隊員全員に指示を出し、それに対して全員が了承する。そして高宮を先頭に移動を始めた。部隊が迷宮内を移動する際には隊列を決めて移動する。これは亜獣に奇襲された場合に的確に対応するためだ。部隊によって隊列の組み方は多少の相違があるが、基本的には前列に戦士2名、中列に罠解除士と魔術師、後列に戦士1名と僧侶という並びが一般的である。なのでこの人類部隊も前列に高宮と三島 邦夫、中列に新藤と翁長 祐紀、後衛に梅津 紗絵と金尾 秀文という隊列で現在移動をしている。
「前方に亜獣います。3体です」
北側の通路を進んで右に曲がった先に亜獣の存在を感じる。これを新藤が報告し、部隊に緊張が走る。
「3体であれば初戦としては丁度いいだろう。集中するぞ」
こう言って雨宮は歩みを止め、亜獣が近づいて来るのを待つ。すると眼前に3体の亜獣が現れた。
「催眠」
亜獣に向かって翁長が催眠の呪文を唱える。すると3体の内2体が倒れ伏した。
「翁長ちゃんGJ!」
こう三島が叫んだ後で戦士3人は残りの1体に向けて攻撃を開始する。今回現れた亜獣は兎頭であり、地下1階で出現する亜獣の中ではそこそこ強い部類に入る。だが3体1では流石に苦戦することもなく殲滅に成功し、眠っている2体もそのまま消滅させることに成功した。
「物質回収します」
こう話しながら新藤が初めての物質回収に向かう。そして戦士3人はダメージを喰らわなかったので回復を依頼することもなく、新藤の回収が終わるのを待つことにする。
「こんなもんなのかな」
「油断は禁物だよ」
思わず口にした三島の言葉を聞いて、梅津が軽く忠告した。この後は迷宮入り口からあまり離れない範囲で探索を続け、亜獣と2回遭遇し戦闘を行う。これで合計3回の戦闘を行ったので、今日はこれぐらいで満足し、迷宮を後にすることにしたのであった。