1998年6月20日(土)
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「3部隊とも無事に第3迷宮探索を始めました。特に問題はなさそうです」
真面目な表情を浮かべて中尾 智史がこう説明した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れて、美味しい料理とお酒を楽しんでいる。本日も前田 法重とその取り巻きたちはいつもの座敷で飲み会を始めており、今日はたまたま他のメンバーが不参加のため、参加者は黒髪てへトリオ部隊の6人となっている。今週ギンガマン応援部隊と電車でGO!部隊が無事に第3迷宮探索を終えたことを中尾が説明し、前田はその報告に満足な表情を浮かべている。
「心配も杞憂に終わったってやつやね」
「でもまだ油断は禁物ですよ」
軽い笑顔を浮かべて中島 一州が発した言葉に前田は突っ込みを入れる。確かに今は問題なく探索できているかもしれないが、いつ何が起こるかわからないのが迷宮である。その事は今まで嫌というほど身に染みてきたのである。
「とりあえず、しばらくは入り口で僧侶が待機しておいた方が良さそうやな」
「あ、その件についてはすでに戦士1人と僧侶1人で待機する様にスケジュールは組んでます」
相変わらずの早いペースで飲んでいるので多少酔っている原田 公司の言葉に中尾は丁寧に返事を返す。戦士は中尾、大島 清吾、飯島 桜、僧侶は宮崎 藍、鹿本 芽衣、太田 香澄がローテーションで待機をするように先日話し合いを行なっているのだ。
「じゃあ多少安心やな。俺も何かあったら手伝うよ」
「大塚さんは罠解除士の3人の指導を何卒お願いします」
話を聞いていた大塚 仁が気持ちを述べて、中尾がそれに答える。探索の安全は罠解除士の能力によるものが非常に大きく、特に低レベルのうちはそれが顕著であり、逆を言えば罠解除士がしっかりしていれば何とかなるのである。
「えっと、前田さんジョッキ開いてますね。ビール頼む人ー」
テーブルの上を眺めていた本田 仁はいつものように全員の飲み物の残り具合を注視しており、飲み物がなくなるときちんと注文を取る。この辺りは長年注文係として培った技術なのだろうが、自分が話していた18期の第3迷宮探索の話題に全く立ち入ってこなかった本田に中尾はちょっとだけ違和感を感じていた。
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