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1999年12月23日(木)
【子飼:立石 啓二・富田 剛・本田 仁・水井 華代】
「じゃあいつものように土曜日の夜から熊本出るで良いかね」
「おう。富田んち迎えに行くよ」
日曜日の予定について富田 剛が言葉を発して、それに立石 啓二が返事を返した。ここは居酒屋『子飼』。平日ということもあり、店内は結構落ち着いた雰囲気である。年末が近づいたこともあり、現在いろいろな場所を転々と動き回っている立石は熊本に帰って来ている。そして今週末の日曜日に有馬記念があるので、富田と一緒に小倉競馬場に行く予定を立てたのである。その話に合わせて競馬談義等を行うために今日はここで19時ぐらいから飲み始めたが、2人では何となく寂しかったので本田 仁の携帯電話に暇だったら飲みにおいでと先程メールを打っている。その本田は今日は祝日なので朝から水井 華代と一緒にスロットを打ちに行っており、2人とも調子が悪かったのでどこかのタイミングで帰ろうと考えていた。すると富田からのお誘いのメールに気づいたのである。
「展開悪いからそろそろ帰らない」
「ですね。今日は無理っぽいです」
帰る提案をした本田の言葉に、水井は了承する。そして下皿のコインを換金した後で店を出て本田の車に乗り込んだ。
「この後どうします?」
いつもより帰るのが少し早いので、水井がこの後の予定を尋ねてみる。すると本田は車を出しながら返事を返す。
「富田さんから飲みの誘いが来てたからそれに行こうと思ってる」
この回答を聞いて、水井は少し考える表情を浮かべ、そしてゆっくりと口を開いた。
「私も行ってもいいですか?」
これを聞いて本田は特に何の反応もせず、ただOKとの意思を示して運転に集中した。この後、黒髪まで戻った2人は車を駐車場へ停めた後、『子飼』まで歩いて向かう。そして富田と立石と合流し、一緒に飲むことにしたのである。ちなみにこの時立石と水井は初顔合わせであり、本田が女性を連れて来たことにかなり驚いたようだ。そしてこの後、何気に2人の関係を探る立石だったが、はっきり友達ですよと本田が回答がしたことに、立石と水井は少しがっかりするのであった。