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1999年12月4日(土)

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「いよいよDVD時代到来ですかね」
「収納がかなりスッキリしそうだな」
 力強く発した大塚 仁の言葉を聞いて、前田 法重が収納の観点から意見を述べた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で店内は騒然としている。前田と飲み友達たちもいつものように集合して当然のようにアルコールを消費している。先日電機メーカーのパイオニアがDVDへの録画・再生を可能にしたDVDレコーダーを発売したとのニュースが流れた。これまでテレビの録画はVHSのビデオテープが主流だったが、ついにDVDへの録画ができるようになったのである。ビデオテープとDVDの一番大きな違いはやはり大きさであり、大量の録画を行う人にとってビデオテープの収納や置き場所について頭を悩ませる点であったが、DVDになるとその問題はかなり解決すると言っても過言ではない。DVDアルバムなどを使用すれば大量のDVDをスマートに収納することが可能になるからだ。
「本田さんとかかなり嬉しいんじゃないですか?」
「俺あまりテレビ録画とかせんよ。富田さんじゃないんだから」
 このメンバーの中では一番テレビ録画をしてそうな人物に中尾 智史が声をかけたが、そのことについて本田 仁は軽く否定の言葉を返す。いろいろな情報を本田は良く知っているので、かなりエアチェックをしてそうなのだが、本田の情報はインターネット経由が主流なのである。
「でもまだちょっと高いっすよね」
「もう少し流通するまでビデオテープで我慢かな」
 出回っている情報についての正直な感想を原田 公司が口にし、それに中島 一州も考えを述べる。今回パイオニアから発表されたDVDレコーダーの価格は税別で25万円であり、これを高いと見るか安いと見るかは人によるが、少なくとも世界初のDVDレコーダーであることを考えると、今後普及するに従って値段が安いモデルが発売されることは容易に想像できるのだ。  
「いずれ録画媒体はDVDが主流になるだろうね」
「DVDの次がありますかね」
 今はまだ発売されたばかりであるが、今後はこれが主流になるであろうことを前田が口にし、その次がどうなるかについて原田も言葉を続けた。とりあえずビデオテープの時代が終わりを告げ、DVDの時代が幕を開けようとしている。ただ、諸行無常、盛者必衰の理の如くDVDもいずれ次のメディアにその座を奪われることになるであろう。だがもちろんこの時点では誰もその予想はできていないのである。

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