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2024年11月11日(月)《GB》

《他人の失敗を穏やかに許せるかイラつくかはその時の状況によりますね。基本イラチなので、あれですが》
【南食レストラン:原田 伸・本田 仁・森下 蘭】
「まじか、全然気づかんかった。さすが本田やね」
「いや、俺その時すぐ気づいたよ。言わなかったけど」
 驚きの表情を浮かべた原田 伸の言葉に、本田 隆は淡々と返事を返した。ここは『南食レストラン』。お昼過ぎの時間であり、店内はたくさんの客で賑わっている。原田と本田、森下 蘭の3人は朝から戦士鍛錬場で一緒に鍛錬を行い、その流れで昼ごはんを一緒に食べようということになり、現在『南食レストラン』にいるのである。日曜日にやる予定がなかった原田と本田は、久しぶりに何も考えずに放浪する旅に出る。公共交通機関を使っていけるとこまで移動して、昼過ぎの時間にどこかで昼食をとり、その後は熊本に帰ってくるという旅である。以前も数回2人で出かけたことがあるが、いろいろな発見があり、なかなか楽しい物なのだ。今回はとりあえず南に進もうと決めて竜田口駅から八代駅までの切符を買う。途中熊本駅で乗り換えが必要だが、スムースに乗り換えることが出来た。そして八代駅まで移動し、駅前のバス停でバスを待っていると何か日奈久行きのバスやってきたのでそれに乗ることにした。乗ってから気づいたのであるが、このバスはJRAの場外馬券売り場であるウインズ八代に向かうバスのようである。ウインズには全く用がないので、途中の日奈久温泉駅というところで降りることにした。こう考えながらバスに乗っていると、高田駅前で降りる若い女性たちの集団がいた。そしてその最後の女の子がICカードをタッチすると残高不足の表示が出る。運転手が差額の金額をお願いすると、女の子は少しだけ焦った様子で財布の中の小銭を探し始める。しかしどうも小銭がなかった様子であり、札を出して両替機に挿入する。ところが両替機は1000円札しか使えず、その女の子は10000円札しか持っていなかったのである。仕方なく運転手が10000円を1000円札10枚に交換し、その内の1枚を女の子は両替に挿入する。この状況で左手には1000札を9枚持っているので、右手で小銭を全部掴み、その状態で小銭を投入し始める。途中で運転手が両手を使ってちゃんと数えてくださいとお願いしたが時すでに遅く50円多く女性はお金を投入し、デジタルには50円多い数字が表示されていた。少し困った運転手は他の乗客に対して現金で払うお客様で先に50円いただける方と依頼し、それに原田が手を挙げて先に50円を運転手に渡す。これで運転手が女の子に50円渡し、これで終わりと思った次の瞬間何とその女の子はその50円を支払い投入口に入れてしまう。そこでまたデジタルが動き、100円多い数字が表示された。そこで運転手は現金で払うお客様で100円を先に払える方とお願いし、それに他の乗客の男性が対応して100円を運転手に渡す。そして運転手はこれは絶対に入れないでくださいと念押しした上で女の子に100円を渡し、女の子がバスを降りたのでこの騒動はこれで終わったのである。この一連の出来事を原田はただ単に田舎の女の子の素朴な出来事とだけ捉えていたが、本田はこの瞬間にお金の動きがおかしいことに気づいていたのである。本来女の子が入れすぎたお金は50円であり、原田が運転手に渡した50円を受け取った女の子が支払い投入口に入れたとして、女の子が多く払ったのは50円なのである。なので結果その女の子は他の乗客の時間を10分程度奪った挙句に50円儲かってバスを降りたことになったのである。
「へー、そんなことがあったんだ」
 詳しい話を原田が話した後で森下 蘭が何とも言えない表情を浮かべている。話を聞いただけでその50円の差異がどうなっているのかがあまり理解できていないようなのだ。この後本田が再度詳しくお金の流れを説明し、森下は納得できたので満足げにご飯を食べ始める。この後食事を終わった3人は、特に午後の予定がなかったので、とりあえず『AXIS』ゲーセン部へと向かうことにしたのであった。

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