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1999年6月22日(火)

【熊大第3迷宮:絶対運命黙示録部隊】
「慎!ちゃんと交わせ!」
「交わせるなら交わすさね」
 後方から聞こえてくる井上 貴志の叫びに対して、栗原 慎は戦いながらも聞こえるように大声で返事を返した。ここは熊大第3迷宮。絶対運命黙示録部隊は本日も地下3階を訪れ、ボスであるガキの部屋を訪れている。井上がガキをクリアしてから1ヶ月程度経っているが、栗原と松はまだクリア出来そうな雰囲気ではない。実際この3人の実力を比較するとそこまで差異は無いはずなので、ガキとの相性の問題でクリアが遅れていると考えられる。ガキの攻撃はメインが長い槍のような武器であり、それに何かしらの飛び道具がたまに飛んでくる。栗原はナックル系の武器を使っているので槍系を持ったいわゆるアウトレンジタイプの亜獣とは非常に相性が悪いのである。また、松は薙刀系の武器を使用しており、通常は自分が亜獣よりも攻撃範囲が広くなるが、槍系の亜獣になると自分よりも亜獣の方が射程が長くなる。そうなるとどうしてもいつものような待ち系の攻撃スタイルが通用せず、自分の間合いにまで飛び込んでいかないといけないのである。
「喰らえ!」
 何とか懐に飛び込んだ栗原はガキの体に渾身の右ストレートを放つ。それによりガキは後方へ吹っ飛んだ。そしてゆっくりと起き上がり、再度槍を構える。
「まだっすか」
 今の一撃で倒せたのを期待していたが、まだ体力は残っているようで、ガキは再度槍を構えてこちらを睨んでいる。この後も栗原はガキの槍攻撃に苦戦しつつも、次の一撃で何とか倒すことができ、戦闘を終了したのである。

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