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1996年6月29日(土)《BN》

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・富田 剛・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】

「俺たち結婚します」
 並んで座っている富田 剛と大塚 仁が一緒に発した言葉を聞いて、そこにいる全員が驚愕の表情を浮かべた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が美味しい料理とお酒を堪能している。前田 法重とおまけのメンバーも約束の時間には全員集合し、先程原田 公司が乾杯の号令を行ったところである。昨日松浦 さやかにプロポーズをして無事に受け入れてもらった富田は本日の『道』の飲み会でそのことを報告しようと思っていた。宴会はいつも通りに18:00スタートだったのであるが、はやる気持ちを抑えられずに17:30には『道』の店内に入る。するとそこにはすでに大塚の姿があり、2人でテーブルに座って残りのメンバーが来るのを待つことにした。とりあえず何気ない世間話をしていた2人であったが、あるタイミングで大塚が真剣な表情で話を始める。
「実はですね。後で報告しようと思ってたんですが、俺結婚することになりました」
「お、おめでとう」
 予想していなかった展開に富田は少し動揺したが、何とか祝福の言葉を絞り出した。今日は自分の結婚報告だと思っていたが、大塚も同じ状況だったのである。そして、このタイミングで大塚が申告をして来たので自分も話さないわけにはいかないと思い、口を開いた。
「実は俺も結婚することが決まったんだよね」
「まじっすか!すげータイミングっすね」
 自分も結婚することを報告した富田の言葉を聞いて大塚は驚きの言葉を述べる。お互いこのタイミングだということはおそらく今週中のどこかでプロポーズをし、それを受け入れてもらったということになるであろう。偶然にしてもタイミングが良すぎるのである。この後、メンバーが少しずつ集合し、宴会開始時間になる。そして原田が乾杯と叫んで少し場が落ち着いた状態で、2人が報告をしたのである。
「え?お前ら結婚するの」
「はい」
 いぶかしげな表情で前田が2人に質問し、それに正直に返事を返す。この時点で何か変な雰囲気になっていることに富田と大塚も気づいているが、その理由が何なのかということは理解できていない。
「えっと、お前らが結婚するんじゃなくて、富田も大塚も別の女性と結婚するんだよな」
 何か当然のことを原田が口にしたのを聞いて、富田と大塚は少し思案する。そして、先ほどの変な雰囲気の理由にようやく気がついた。
「俺と大塚が結婚するわけないじゃないですか」
「流石にないっすわ」
 自分たちの言い方に少し誤解を招くところがあったにせよ、そのように思われたことに2人はショックを受け全否定の言葉を述べたのであった。

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