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1999年4月17日(土)
【プレイオフ:前田 法重・中島 一州・富田 剛・本田 仁】
「吉野家!」
ツモの後、富田 剛は横にした牌をノータイムで切りながら得意のセリフを口にし、盤上に1000点棒を投げ入れた。ここは雀荘『プレイオフ』。お昼過ぎの時間であり、この卓とは別に1卓でプレイが行われているが、店内は静かな雰囲気となっている。そしてその雰囲気をぶち壊すように富田の大声が店内に響いたのである。ちなみに現在南4局、点数的には非常に僅差であり、誰も確定点数を持っていない状況だ。ただ、リーチをかけたということはこれを上がれば確定点数を取れるということであろうから、トップで半荘を終えることになる。
「リーチか〜。嫌ですね。前田さん安牌増やしてください」
「何で俺が。お前が勝負しろよ」
とりあえず手配にあった安全牌を切りながら本田 仁が言葉を発し、それに前田 法重が突っ込み返す。麻雀という競技の性質上、安全杯さえ持っていれば自分が振り込むことはない。なので、他のメンバーが危険牌を切ってくれて、安全牌を増やしてくれるのは非常に望ましいことなのである。
「流石に勝負に行く手じゃないな」
ため息をつきながら中島 一州が安全牌を切り出す。どうも中島は手配があまりにも悪く、勝負ができないようである。
「俺も厳しいんですよねー」
そう言いながら前田はとりあえず安全牌を切ってみる。すると富田は大きく深呼吸して山に手を伸ばす。
「それでは皆様お待たせしました。たつま・・・終わった」
何やら派手に積もっていたが、盲牌でアガリ杯ではないということがわかり、積もった杯を憮然と河に捨てた。この後は結局誰も上がることができず、富田の1人テンパイでオーラスの場が流れる。
「アズナブル入!」
気合を入れて富田が起家札を東を横にした状態にして札置きに叩きつける。そして富田が親で西1局が始まったのである。ちなみに麻雀は18時ぐらいまで続けられ、この後前田、中島、本田の3人は『道』へ移動し、富田は店番をするために『AXIS』に戻ったのである。