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1999年3月18日(木)

【ニュー富士:外口 デニム・澤口 忍】
「てあ!」
「残念」
 気合を入れて中リールを押した外口 デニムだったが、中段に氷が止まってしまい、それを見て隣に座っている澤口 忍が声を掛けた。ここは14時を少し過ぎた時間のパチンコ屋『ニュー富士』。平日の昼間ということもあり、客も少なく落ち着いた雰囲気の店内である。外口と澤口は午前中は戦士鍛錬場で鍛錬を行っていたが、鍛錬中からスロットを打ちたい気持ちがふつふつと湧き上がり、午後からスロットを打ちに行こうと決めていたのである。鍛錬終了後は丸山 静江と3人で『南地区レストラン』で昼食を取り、食後に丸山とは分かれて『ニュー富士』にやってきたのである。来店した2人はいつものようにとりあえず店内の見回るが、スロットのハナビを打つことは決めていたので、空いていて尚且つ出そうな台に並んで座り、打ち始めたのである。このハナビという機種は、左リール上段にハナビ図柄、そして次に右リールを止めて、子役がテンパイすれば中リールに子役を狙って外れればボーナスという打ち方が基本である。もちろん左リールは上段ハナビでなくても良いし、氷さえフォローすれば順押しでも問題ない。だがこの頃のハナビ打ちはこの打ち方が基本であり、楽でもあるのだ。外口もこの打ち方でしばらく打っていたが、左リール上段ハナビで消灯、右リール下段にドンちゃんが止まって消灯演出になったのである。この時点でボーナスか斜め氷揃いの2択であり、斜め氷は滅多に揃わないので、非常に熱い状況だったのである。しかし無情にも狙った氷が中段に止まってしまい、氷が揃った時特有の虚しい払出し音が流れるのであった。
「まあ仕方なし」
「そそ、単なるナメコだよ」
 気持ちを切り替えて外口は言葉を漏らし、それを聞いて、澤口も声をかける。この後も二人はハナビを打ち続け、最終的に外口はトントン、澤口がちょい勝ちぐらいということになった。ちなみに先程澤口が口にしたナメコとは斜め氷の略語であり、この頃のスロット打ちは誰でも知っている言葉である。

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