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1998年10月20日(火)

【僧侶鍛錬場:大下 界・宮内 純香・佐藤 美香・新山 浩孝・坂手 真由佳・櫻木 美雨】
「これは・・・黒いですね・・・」
「紫の要素がほぼ無い」
 新山 浩孝の手のひらの上に浮かんでいる光球を見つめながら宮内 純香が言葉を発し、その後で大下 界も感想を述べた。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行っている。僧侶達も昨日師匠制度についての説明が行われており、自分の師匠が誰であるかは把握している。ただ、通常の鍛錬自体は19期同士で行っており、それに教官の櫻木 美雨が指導をつけてくれている。なので、師匠というのは現状あくまでも何か困ったことがあった時に相談する先という位置付けである。
「何それ。確かに紫が濃いのは見たことがあるけど、それはもう黒だよね」
 光球を見つめながら櫻木が多少呆れて言葉を発する。それを見て発現させた新山は不安気な表情を浮かべる。
「まあ紫球は実際使うこともあまりないから、あまり気にはしなくていいよ。白球はきちんと白いし、次の緑ができれば問題ない」
 心配そうな新山を安心させようと、櫻木が優しく声をかける。それを聞いて多少気持ちが落ち着いたようだ。
「これで全員紫球はできたみたいね。次は緑色球になるから頑張ってね。あと、祈りも忘れずに」
 この様に激励した櫻木は、自分の言葉を聞いて鍛錬に集中し始めたのを確認し、一旦その場から姿を消した。

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