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2025年2月27日(木)《GB》

《良く聞く表現なのですが出典がどこかわからないです。確かにエロ漫画で使いそうな表現ではあるんですよね》
【AXIS:有村 藤花・澤口 恭平・富田 水無】
「え、藤花さんが助手席に乗ってくれるのなら考えますよ」
「いや、私は水無と一緒に後ろに乗る」
 期待を込めた表情を浮かべながら澤口 恭平が発した言葉を聞いて有村 藤花があっさりとした返事を返した。ここはお昼過ぎのゲーム&喫茶『AXIS』喫茶部。常連客を中心に結構な客が来店しており、店内は賑やかな雰囲気である。有村と富田 水無は午前中の鍛錬の後で冒険者組織本館入り口で待ち合わせていたが、一足早く集合場所に着いた有村が富田を待っている間に澤口に見つかってしまい、一緒に『AXIS』で昼食を取ることにしたのである。昼食を食べながら話をしたのは、4月になってからの大学への通学についてであり、免許を持っていない有村と富田はおそらく今まで通り旧熊大赤門前から竜田口駅までのシャトルバスとJRで熊大に通うことになる。ここで考えたのは澤口はバイクで大学に通っており、基本的には有村や富田がJR等に乗っている時間にバイクで黒髪と武蔵ヶ丘を移動しているのである。もし澤口がバイクではなく車で移動するならば一緒に乗せてもらえると考えるのは至極妥当な判断であろう。
「えー、一応車の免許は持ってますけど、車がないんですよね。でも藤花さんが助手席に・・・」
「わかった。もう良い」
 車を買いさえすれば一緒に移動することは可能であると澤口が説明したが、その前提条件の鬱陶しさに有村は話を途中で止めた。どうしても澤口は有村を助手席に乗せたいらしいが、これは好きな女性に助手席に乗って欲しいという男しては当然の願望である。ただ有村としてはまだ澤口と2人きりで車に乗る気はなく、そうであれば助手席に座る必要はないと考えるのだ。
「恭平くんちょっと」
 何か思いついたらしく、富田が澤口を近くに呼んで耳を近づけさせる。そして有村に聞こえないように話を始めた。
「藤花は今あんな風に言ってるけど、ほらよく言うじゃない、口ではそう言ってても体はほれこの通りって。だからいずれ助手席に乗ってくれるわよ」
 思ってもいないセリフを富田から聞いた澤口は少し赤面してしまう。それを見て有村は訝しがっているが、澤口は我慢できずに質問をしてしまう。
「水無さん、すごい表現しますよね。ちょっと驚きました」
 こう言われた富田は少し考えると恥ずかしさが出てきてしまい、思わず赤面する。そして言い訳を口にした。
「いや、さっきの言い回しは隆が小さい頃から良く使ってたから深い意味をあまり考えてなかった。ちょっと失言でした。忘れてください」
 顔を赤くしている富田を見て、有村はいっそう不思議な表情を浮かべていたが、2人が沈黙してしまったので、この話はこれで終わりということでゆっくりと食事を続けたのである。ちなみに先程の表現は富田が幼馴染である本田 隆からいままで何度となく聞かされた表現であり、元をただせば本田の父親である本田 仁が好んで利用する表現だったのである。

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