1996年9月6日(金)《BN》
【ハイライト:山口 可奈・大田黒 佳美・小林 みゆき・古川 美穂】
「じゃあ一旦お疲れ様。カンパーイ」
ジョッキのハイボールを右手に持っている山口 可奈が発した乾杯の声を聞いて、他のメンバーも各々自分の飲み物を上に上げた。ここはスナック『ハイライト』。金曜日ということもあり、店内はなかなか混み合っている状況だ。本日まで行われていた15期試験の募集が17時を持って締め切られ、全ての応募者の情報をデータ化してゼーレに提出することで、募集活動はとりあえず終了となった。この後、ゼーレによって合格者の判定が行われ、その情報を元に合格発表を行うのが9月24日の予定である。もちろんその後は2次試験が行われるので、また忙しくなる予定となっているので、このタイミングでゆっくりお酒を飲もうという話になったのである。
「どうだろうね15期は」
「わからないわね。こればっかりは」
早くも1杯目の生ビールを飲み干した小林 みゆきが漏らした言葉を聞いて、大田黒 佳美が返事を返す。現段階では申し込み者の簡単なデータしか情報がなく、そこから才能の優劣を読み取ることは出来ない。これは毎回のことであり、実際に2次試験が始まるまではその期のレベルの高低を判断することは出来ないのだ。
「基本奇数期ですしね」
「13期は異例だったけどね」
今回の15期が奇数期であることを古川 美穂が言葉にし、それに山口は1つ前の奇数期である13期について口にした。一般的に高校卒業後すぐに受験できる偶数期の方が冒険者のレベルが高いと考えられている。ただ、歴代冒険期で比較すると抜けてレベルが高いのが1期、3期、13期と全て奇数期なのだ。これについて1期は開始期である事と、3期の頃の偶数期の募集時期が今よりも1ヶ月早く、それが原因で新卒者が受験できたのが奇数期の時期であったことが要因とされる。そして13期については全くの偶然が重なったものであり、本当にたまたま能力の高い者が何かの事情でこの時期に申し込むことになったのである。
「まあ考えても仕方がないし、15期のことは一旦忘れて飲みましょう。すいませーん。おかわりお願いします」
ハイボールを一気に開けた後で山口がこう発言し、その後でおかわりを頼むために店員を呼んだ。この後は各自おかわりを頼み、いつものように異性を含めたプライベートな話で盛り上がるのであった。