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1999年9月16日(木)

【戦士鍛錬場:島田 笠音・倉本 憲伸・高倉 蘭馬・前野 諭子・雨宮 英利香・高宮 太輔】
「なぜ私に敵わないかわかる?」
「坊やだからですかね」
 真面目な表情で発した島田 笠音の言葉を聞いて、高倉 蘭馬が返事を返し、これを聞いた島田は大きなため息をついた。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。冒険者は平日の午前中で探索を行わない日は、基本的には鍛錬場で鍛錬を実施する。なので探索を行っていない戦士は全員集合していることになる。本日もほぼ全ての戦士が鍛錬に訪れており、随所で模擬戦や鍛錬を行っているところである。華撃団Ⅲのメンバーである島田と倉本 憲伸、高倉も朝から鍛錬場を訪れいている。通常、鍛錬を行う際には、1部隊の戦士数が3人である都合上、別の部隊と合同で鍛錬を実施する場合が多い。その場合は実力の関係上、同じもしくは近い期の部隊を相手として選ぶこととなる。たとえば華撃団Ⅲ部隊であれば、島田が13期、倉本と高倉が14期なので、選択肢となるのは3人とも13期である>>1さん部隊といつかは最強いつでも最強部隊、14期が2人と15期が1人である人類補完計画部隊となる。本日はいつかは部隊は迷宮を探索中であり、>>1さん部隊は湘南爆走隊部隊と合同訓練を行っているようなので、人類補完計画部隊の前野 諭子、雨宮 英利香、高宮 太輔と合同で鍛錬を行っているのである。そして現在は休憩中であり、先程の会話となったのである。
「蘭馬くん。真面目に聞かれたんだから真面目に答えないと」
「私なら一発入っているわよ」
 先程の質問に対して少しふざけた回答をした高宮に前野と雨宮から避難の声が上がる。実は高倉は意外と真面目に返事を返したのであるが、ある有名なセリフとかぶってしまったこともあり、ふざけたと解釈されたようである。
「でも、まあ蘭馬くんは坊やだよね」
 回答を聞いて一瞬あきれた島田だったが、良く考えると先程の回答があながち間違っていないことに気づく。島田が指摘したかったのは高倉の戦い方に感情が入り過ぎる点である。感情的な戦いにはメリットとデメリットがあり、調子に乗った時の爆発力は大きいが、相手が冷静な場合は攻撃パターンを読まれてしまい、ジリ貧になりがちになるのだ。この感情が入り過ぎるというのが何故かと問われたら確かに坊やだからなのかもしれないのである。
「大人になりなさい」
 端的に伝えたいことを言葉にした島田だったが、高倉がこの言葉の意味を正しく受け取ったかどうかは謎であり、実際この後も感情的な戦いを続けているところを見ると、島田のアドバイスは理解できていなかったようである。

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