2024年8月8日（木）《GB》

《熊本も結構揺れたので、熊本地震の記憶が少しだけフラッシュバックしました。被害最小限を祈ります》
【AXIS：富田　剛・本田　仁・桑野　絵梨花】
テレンテレーンテレンテレーン緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。テレンテレーンテレンテレーン緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。
　店内の至る所から緊急地震速報のアラートが鳴り響き、一瞬店内の雰囲気が騒然とした。ここはゲーム＆喫茶『AXIS』ゲーセン部。夕方の時間であり、あまり客は多くないものの、数人の常連客がゲームを楽しんでいる。その常連客の中には、午前中は魔術師鍛錬場で過ごし、その後『AXIS』の喫茶部でランチを食した後でゲーセン部にやって来た本田　仁や、今日は午前中に私用があったので、仕事を有休で休んでいたが、午後からは特にすることも無く暇だったので、ゲームをしに来店していた桑野　絵梨花も含まれている。ゲーマー達は一瞬自分のスマホの音に反応したが、各々冷静にスマホを操作してアラート音を止めた後、何事も無かったかのようにゲームを続ける。この時点では地震が来ることはわかっているが、どれほどの規模の地震が来るかは全く想像ができない。もし震度1や震度2ぐらいの地震であれば、わざわざゲームを中断する必要もないと考えているのである。
「地震速報がなりましたので、いざという場合はゲームを中断して身の安全を確保してください」
　店長の富田　剛が一応マニュアルっぽいセリフをマイクで店内に放送する。まだ揺れは始まっていないがもし大きな揺れであれば、人命の安全が最優先であり、ゲーム自体は再プレイをしてもらえば済む話なのである。アラートからしばらく緊張した雰囲気に包まれていたが、いよいよ地面が振動を始めた。
「これは」
「これはひしゃくじゃな」
　先程のアラート音の後で、富田がいる場所に移動していた桑野と本田が言葉を漏らす。振動は小さい揺れから始まり次第に大きな揺れとなる。想像していたよりも大きな揺れに店内のゲーマー達は流石にゲームをやめて、揺れに対して安全になるような対策を取り始めているようだ。結構長い時間揺れは続いたが、程なく揺れはおさまる。富田は急いで店内を確認するが、怪我をした客などはおらず、店内の備品などにも特に損害は出ていないようだ。
「震源地は宮崎らしいですよ」
「宮崎震源地で今のはやばくないっすか」
　いち早くスマホで情報を調べた本田の言葉に桑野が感想を述べる。地震というのは震源地から離れるほど揺れが小さくなるのが当然であり、熊本でも先程のような大きな揺だったので、宮崎の揺れはこれ以上であるのは自明の理なのである。
「熊本は震度4だったらしいですね。宮崎は震度6弱てです」
「震度6弱か。でかいな」
　追加の情報を本田が口にし、思わず富田は言葉を漏らす。
「とにかく大きな被害がないように祈るだけっすよね」
　自分のスマホをいじりながら桑野が言葉を漏らし、富田と本田は大きく頷く。この後はゲームを中断した客に対してゲームの補填を少し多めに行い、併せてお茶缶を配って回る。本田と桑野もお茶缶をもらった後で、先程中断したゲームにクレジットを入れてもらい、ゲームを再開したのである。