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1999年2月16日(火)
【僧侶鍛錬場:鹿本 芽衣・池上 藍・大下 界】
「ちょっと集中できないので、ちょっと休憩してきます」
祈りの鍛錬を行なっていた池上 藍だったが、大きなため息をついた後、このように述べて鍛錬場を出ていった。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行なっている。本日も師匠の鹿本 芽衣は弟子である池上と木下 界の指導を行なっており、先ほど光球の鍛錬から祈りの鍛錬に切り替えたところである。その後しばらく祈りの鍛錬を行なっていたが、池上が集中できないらしく、休憩室へと向かったのである。
「何かめずらしいですね。集中できないのは俺の専売特許かと思っていたのですが」
「そうね。大下くんだったらいつものことだもんね」
祈りを中断して少し心配そうに言葉を発した大下に、鹿本は返事を返す。今までの鍛錬では祈りの鍛錬で先に集中力が切れるのは大下の方であり、池上が鍛錬中に集中力を乱すことはあまりなかったのである。ちなみに大下の集中力が高くないという点は僧侶としての比較であり、一般的には低くない評価である。所属する部隊カードキャプター部隊の仲間で比較すると、外口 デニムや澤口 忍は集中力が深く短いタイプであり、丸山 静江と高村 佳子は同程度、田辺 睦美には及ばないという判断である。
「何かあったんですかね」
「うーん、おとといバレンタインだったからね。まあ気にしても仕方ないから鍛錬開始するわよ」
いつもと様子が違う池上のことは心配だが、ここで心配し続けてもどうなるものでもないので、大下は気持ちを切り替えて鍛錬を開始することにした。