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1999年6月28日(月)

【熊大第1迷宮:勉強はもうコリゴリダー部隊】
「我が剣は疾風。あまりの疾さゆえに、いまだかつて誰も剣の影すら見たものはおらぬ」
「まだだよねー」
 出現した鼻ひげのセリフを聞いて、財津 義男は思わず言葉を漏らした。ここは熊大第1迷宮。勉強はもうコリゴリダー部隊は本日も地下8階を訪れてボスである鼻ひげ戦を行っている。先ほど1回目の戦闘を終えており、まだ無傷では倒せないものの、ある程度の余裕を持って倒せるようになっている。今までのボス戦の経験からもそろそろクリアをしても良い頃ではないかと感じていたのだが、出現した鼻ひげはまだ戦う気満々のようであり、不適な笑みを浮かべているのである。
「良し、じゃあ行くぞ」
「了解!」
 気合を入れた財津の言葉に、平出 敬一郎と先崎 絵未が元気な返事を返す。対戦当初からしばらく手探りだった鼻ひげ戦もある程度のパターンがわかってきており、財津を中心にしたフォーメーションで、鼻ひげの動きに対して的確に対応できるようになっている。
「あいた」
 油断したということではないのだろうが、一瞬の隙をつかれて平出が鼻ひげからダメージを喰らう。そこで平出は一旦退却し、笹井 未生に回復を依頼する。
「回復」
 こう言葉を述べてダメージを受けた箇所を回復する。実は別に回復と言葉を発する必要はないのであるが、はっきりと回復と言ってもらったほうが、精神衛生上安心すると戦士たちが言うので、面倒だが口にするようにしているのだ。程なく回復が終わり平出は戦闘に復帰する。こうなるとまた数的には1対3になったので、有利に戦闘を進めることができ、先崎の止めの一撃が鼻ひげに炸裂する。
「これより先はお前らには地獄よりつらい道、帰れ!帰らねばその宿命に狂い果てるぞ」
 いつものセリフを吐いて鼻ひげは膝をつき、消滅していった。
「物質回収します」
 戦闘が終わったのを見て小野澤 康佑がこう声をかけながら物質回収に向かい、戦士たちはいつものように笹井に回復を依頼する。
「まだ無理っぽいね」
「無理だろうね」
 今の戦いの感じから鼻ひげクリアの可能性を考えてみたが、どうもまだ少し厳しいようであり、クリアは来週以降に持ち越すとして本日はこれにて探索を終了することにしたのである。

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