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1999年8月26日(木)
【熊大第2迷宮:いつかは最強いつでも最強部隊】
「まだしばらくここで鍛えた方が良さそうだな」
「了解。もう少し俺らは暇ってことっすね」
少し考えた後で発した藤井 淳紀の言葉を聞いて宮本 紳が返事を返した。ここは熊大第2迷宮。いつかは最強いつでも最強部隊は本日も地下2階のトレーニングルームを訪れている。そして出現する亜獣を相手に藤井、前村 亮二、福永 菜月の3人が順番に戦闘を行っている状況である。ここでのトレーニングは戦士の能力を飛躍的に上昇させるとされており、地下2階のボス戦前に十分にレベルを上げておくことが推奨されている。ただ、それをどれぐらい行うかの適量は難しいので、そこは各部隊の判断に任せられるのである。前衛の戦士3人は少しずつ自分の実力が上がっていくのを体感出来るので、ここでのトレーニングの時間は非常に有意義であるが、罠解除士と僧侶、魔術師はレバーを引くこと以外には全くすることがないのである。
「まだしばらくここだって」
「仕方なし。のんびりしときますかーはあ」
ここでの鍛錬がまだしばらく続くことを宮本が報告し、それに返事を返しながら鹿本 芽衣が思わずあくびをしてしまう。確かにマニュアルにもこの時期後衛の3人は非常に退屈な時期が来るので、その対策は考えておいた方が良いとの記載があった。だが別に何も準備していないのでただただ暇である。
「そういえば宮本さんは結婚とかしないんですか」
「な・・・何をいきなり」
退屈に任せてだろうか、大河原 美沙がふと頭にうかんだことを質問し、それを聞いた宮本は少し動揺して返事を返す。後衛の3人で退屈に任せてくだらない話をすることはあるが、恋愛系の話はほとんどすることがないのだ。
「いや、菜月さんも結婚するし、宮本さんも早記ちゃんと結構付き合い長くないですか?」
質問した理由を大河原が説明する。この部隊の藤井と福永は結婚が決まっているので、その流れで宮本も結婚しないのかと素朴に疑問が湧いたのである。
「えっと、菜月さんは菜月さん。俺は俺」
まだ結婚する気はないことをはっきりと口にする宮本であったが、その動揺ぶりを見て鹿本と大河原は思わず笑ってしまったのである。