1999年10月18日(月)
【戦士鍛錬場②:高嶋 美樹・櫻木 美雨・松島 明日香・滝川 亜佳里・沖本 蓮香・大塚 仁】
「大丈夫、変わろうか?」
「あ、大丈夫ですよ。最後までやりますね」
声をかけてきた大塚 仁に対して沖本 蓮香は少し疲れた表情を浮かべながら返事を返した。ここは戦士鍛錬場②。本日は21期合格者達を対象としたオリエンテーションと能力解放が行われている。オリエンテーションは高嶋 美樹を中心に櫻木 美雨、松島 明日香、滝川 亜佳里らの教官達によって滞りなく行われ、その後で罠解除士、僧侶、魔術士合格者達に対して能力解放が行われることとなった。そして現在罠解除士の5名、僧侶の5名の能力解放が終了し、一旦休憩を挟んでいるのである。ここまで10名の能力解放を沖本が行っており、その疲労度を大塚が心配したのであるが、大丈夫との返事である。能力解放は対象者の背中から波動を送り込むことでその対象者の能力を解放するのであるが、その対象者の潜在的な能力によって、それが簡単だったり困難だったりする。そして困難な対象者の場合は能力を解放するのにかなり大きな疲労感を伴うので、10人の能力解放と言っても実際にやってみないとどれぐらいの疲労感を感じるかはわからないのである。ただ、先ほどから見ていた感じ、今回の罠解除士と僧侶のメンバーでそこまで解放が難しいような状況には見えなかったので、そこまで疲労は感じていないということなのであろう。
「すごいやつはいた?」
「うーん。誰かといえば僧侶の藤枝さんかな。他は一般的に良い感じでした」
現在までの能力解放の評価を大塚が尋ね、それに沖本が返事を返す。能力解放を行う際に感じる感覚によって、その対象者の潜在能力をある程度判断することができる。これは実際に能力解放を行なったものしか感じることが出来ないので、そのことについて大塚が尋ねたのである。沖本は答えた対象者が罠解除士ではなかったことに少しがっかりした様子の大塚を見て少し笑顔を浮かべる。そして休憩時間が終わりとなったので、残る魔術師5名の能力解放に向けて精神の集中を始めるのであった。
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