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1997年2月22日(土)《BN》
【別館道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「だいぶん出来てきたよね」
「予定通り3月末には開店できそうです」
前田ビルの建設状況について中島 一州が発した言葉を聞いて、前田 法重が進捗について報告した。ここは居酒屋『別館道』。本日もたくさんの客で店内は大賑わいである。前田と腐れ縁者たちもいつものように集合して、いつものように飲み会を行っている。この『別館道』の目の前に前田ビルの建設を始めて約2ヶ月が経過している。当初の予定である3月中旬完成予定のスケジュールで順調に建設が進んでいるようだ。問題なくビルが完成すれば、3月末での前田の引越しと、新装『道』の開店が行われる予定である。
「でもかなり広くなりますよね。佐々木さんとおばちゃんの2人じゃ厳しくないですか?」
「たぶん無理だね。だからバイトを雇おうかと考えてる」
予定されている『道』の広さを考えれば、現在の2人で店を回すのは難しいと考えた中尾 智史の言葉を聞いて、前田が今後の予定について口にする。現在飲み会を行っているこの『別館道』は富田ビルの1階を2区画に区分けたうちの1部であり、それでも結構な広さである。前田ビルはそもそも富田ビルよりも大きく、1階部分は全て『道』のスペースとして利用予定であるのだ。
「バイトかー。富田さんのところもバイト募集するって言ってましたよ」
「じゃあ場所も近いから一緒に募集するのもありだな」
最近今後開店する喫茶店とゲーセンのことについて富田 剛と会話をした本田 仁がその内容について説明し、それを聞いた前田は同じ状況であることを認識し、協力できることがあれば協力しようかと口にする。アルバイトの募集に関しては、富田が運営する店にしても『道』にしても一応冒険者組織の所属店舗扱いなので、冒険者組織を通じてある程度人が集まる見込みである。ただ、それでも集まらない場合は、求人情報誌である“求人案内”や“an”などに広告を出すことになるだろう。ただその場合でも職種や営業時間が違うので、グループ企業扱いにして居酒屋、喫茶店、ゲームセンター店員と同時に求人を出すことが出来そうである。
「富田んのところは予定通り始められそうなん?」
「まだバイトとかはいないみたいですけど、一応ゲーセンは3月下旬、喫茶店は4月頭に開店するって言ってましたよ」
喫茶店もゲーセンも大好きである原田 公司の質問に対して本田が軽く返事を返す。この予定通りにことが進めば、平日の午前中鍛錬を行った後、富田が経営する喫茶店で食事を食べ、ゲームセンターで遊び、そのまま『道』で酒を飲むという黄金ルートが誕生するのである。
「ちなみに喫茶店とゲーセンの店名は『AXIS』にするって言ってました」
「そんなばかな!」
予定している店の名前を説明した本田の言葉を聞いて、大塚 仁がまるで地球に落ちるはずだった隕石が軌道を変えて落ちなくなった時に叫ぶような突っ込みを入れたのであった。