2024年6月22日(土)《GB》
《ダンレボはⅠ〜Ⅲまでは良くやってたなあ。友人と一緒に白山通りのジョイパレスで一晩中踊ってた》
【AXIS:桑野 絵梨花・富田 剛・本田 仁】
「いらっしゃい。あら、髪色が変わってる」
「ちょっとイメチェンしてみました〜」
店内に入ってすぐに店長の富田 剛から声をかけられたので、桑野 絵梨花は髪をいじりながら返事を返した。ここはゲーム&喫茶『AXIS』ゲーセン部。本日は土曜日であるが桑野は冒険者組織で業務を行い、終業後に『AXIS』に寄ってみたのである。
「何か青系の色って珍しいよね」
「そうですね。多分初めてだと思うっす」
じっくり髪を眺めながら発した富田の質問に、桑野は今までの自分の髪色の遍歴を思い出しながら返事を返した。桑野は小さい頃から『AXIS』に頻繁に訪れており、それは高校卒業してからも続いている。もちろん高校生時代は髪を染めてはいなかったので黒髪であったが、その後は金髪にしたり、灰色にしたりピンクにしたりと色々な髪色を繰り返してきている。傾向的には明るい系統の色が多かったので、今回の青色は少し落ち着いて見えるのである。
「ちょっと1服してきます」
こう言って桑野は店の奥にある扉を出て喫煙所へと向かう。それを見送った富田はカウンターの中に入り、店内のテレビをしばらくボーッと眺めている。
「お疲れ様っす」
すこしウトウトしたタイミングでやって来た本田 仁が声をかけてくる。それに対して富田は軽く腕を上げることで返事を返した。時計を見ると17時30分を少し回ったぐらいなので、おそらく本田は『道』に行く前にちょっと寄ったのであろう。
「最近面白いことないかね」
「うーん、もうダイエーもないですしねえ」
会うといつも質問される内容に対して本田は面白いことは特にないと返事を返す。毎日同じような生活を繰り返しているとそうそう面白いことは起きないのである。
「あ、本田さんお疲れ様です」
そうこうしていると桑野がタバコを吸い終わって店内に戻ってくる。そして本田がいるのに気づいて挨拶を行った。
「そうだ、本田さん一緒にダンレボやりましょう!」
昔本田が良くダンスダンスレボリューションをやっていたのを覚えているので、一緒にプレイしようと桑野が誘う。ただ、これに対して本田は乗り気ではない返事を返す。
「桑野さん。おっちゃんいくつだと思ってるんだい。53歳になってダンレボはきついって」
昔の自分であれば迷うことなく誘いに応じたのであるが、流石にこの歳になってダンレボはきついのである。ただ、これに対して桑野はあの名言を使って再度勧誘する。
「本田さん。ほら口ではそう言ってても体はほれこの通りっていいますよ」
正直プレイするのはきついという感覚はあるが、このセリフを言われたら断るわけにもいかず、本田は超久しぶりのダンレボを桑野と一緒にプレイするのであった。