
1999年12月30日(木)
【熊本競輪場:外口 デニム・澤口 忍・深山 政樹】
「太田か?」
「太田やな」
先頭の選手がゴール線を通過した瞬間に外口 デニムと澤口 忍が声を漏らした。ここは熊本競輪場。本日は立川競輪場で“KEIRINグランプリ‘99”が行われており、たった今大型ビジョンにそのレースが放送されていたのである。レースは道中太田選手の後ろを神山選手と小倉選手が競り合った結果、神山選手が番手をキープし、太田選手が逃げてレースを引っ張っていく。そして後方から捲ってきた吉岡選手や金古選手を神山選手が強力にブロックし、太田選手が先頭で直線に。死力を振り絞って最後まで先頭を駆ける太田選手の後ろから神山選手、小橋選手、そして児玉選手が追い込んできて、ゴール前では太田選手と児玉選手、神山選手が並んでゴールイン。結果は太田選手が1着、児玉選手が2着であった。
「太田頭買ってねーよ。デニム買ってたんじゃ?」
「いや、太田は買ってたけど2着児玉買ってない」
自分の買った車券を確認しながら深山 政樹が声をかけてきたので、それに外口も車券を確認しながら返事を返す。結果3人ともに車券は外れていることが判明し、がっかりと肩を落とす。
「じゃあ帰るべか」
「帰ろっかね」
席を立って外口がとぼとぼと歩き出し、それに返事をした澤口と深山も後に続く。競輪場を出た3人は競輪場通りを水前寺駅方面に向かって歩き始める。すると途中にパチンコ屋『21世紀水前寺店』があるので、ここで負け分を取り返そうと入店する。店内は同じような境遇の人たちがたくさん遊戯しており、ほとんどの席が埋まっていたが、その中でも空いている席に座って遊戯を始める。結果この時間に空いている台で勝つのは厳しく、3人ともに負け額を増やす結果となってしまったのであった。