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1999年2月17日(水)
【魔術師鍛錬場:島 可南子・島津 亮二・三野 萌実】
「TNTって打てるまでに鍛錬開始から3年ほどかかるんですね」
「気が遠くなりそう」
お茶で喉を潤しながら島津 亮二が感想を述べて、それに三野 萌実が言葉を続けた。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行なっている。本日も朝から弟子である島津と三野と一緒に鍛錬を行なっていた島 可南子であったが、先程休憩に入り、島津の質問攻めにあっていたのである。島が所属する湘南爆走隊部隊は現在第2迷宮の地下5階を探索中であり、18期の島津と19期の三野に取っては全く想像が出来ない世界となる。ただ、魔法使いとして最終目的となる呪文はTNT爆発であり、そこに至るまでの過程と、その習得難易度について島に質問し、その返事をもらったのである。ちなみに、TNT爆発の次の魔法としてティリオスがあるが、ティリオスは使用場所が限定しているので、一般的に魔術師が最終的に目標とする呪文はTNT爆発と位置付けられているのだ。
「そうね。だから実際TNT爆発を撃てる魔術師は13期よりも以前に入隊した魔術師になるわね。14期の佐村さんと鬼塚さんがもう少しで出来そうだけど、おそらく来月ぐらいになるのかな」
現状の魔術師についての詳しい情報を島が説明する。今島が述べた通り、TNT爆発を使用できるのは13期以前の魔術師であり、人数としては島と高松 準也、細川 舞美、大河原 美沙、そして本田 仁の5名である。
「TNT爆発覚えたら,その後はどのような鍛錬になるんですかね」
全ての魔法を習得した後に魔術師がどこを目指すのかについて疑問を持った三野が質問する。それに対して島が返事を返す。
「魔力をあげることになるわね。魔力を上げることで要はTNT爆発を何発撃てるかという話。ちなみに現在細川さんと大河原さんは2発、私と高松くんは4発打つことが出来ます」
こう話して島はそろそろ休憩を終了しようと、鍛錬再開の準備をする。
「あの、本田さんは?」
「あ、本田さんはTNT爆発打つのにゲージを使わないそうなので、無限に撃てるらしいわよ」
そう言いながら島は立ち上がり鍛錬場所へと向かう。島津と三野はゲージと無限という言葉の理解が出来なかったが、いったん考えるのをやめて鍛錬を再開すべく鍛錬場所へと向かったのである。