1999年9月2日(木)
【AXIS:原田 公司・水井 華代】
「あ、原田さんお疲れ様です」
「お疲れー」
軽く頭を下げながら挨拶をした水井 華代に気づいた原田 公司は明るく返事を返した。ここはゲーム&喫茶『AXIS』ゲーセン部の店裏にある喫煙所。特に案内があるわけではなく、場所も非常にわかりにくいのでここに喫煙所があることを知っている人は常連客の喫煙者ぐらいとなっている。もちろん原田はここの店長の富田 剛とは古くからの知り合いであるため、ここの常連でもあるし、古くからの喫煙者なのでそのことを周知している。また水井は先日、本田 仁に連れられて始めて『AXIS』喫茶部で食事を取ったが、その際に喫煙所の場所については確認していたのである。以前と違ってタバコもどこでも吸えるような時代ではなくなっており、喫煙者はタバコが吸える場所を脳内のマップできちんとマーキングしている。これを行っておかないと、吸いたい時にすぐに吸えないような状況となるのだ。ただ、喫煙所も新設されたり無くなったりするので、その情報のアップロードは常に行っておかないと行けない。原田にとって、冒険者組織内にある喫煙所を除けば『AXIS』の喫煙所の利用頻度は非常に高く、もしタバコが切れても大丈夫なように店内にタバコのストックもお願いしている状況である。
「水井さんは珍しいね」
組織の喫煙所ではたまに顔を合わせるが、ここで一緒になるのは初めてなので、原田が軽く尋ねてみる。すると水井が返事を返した。
「そうなんです。このまえ本田さんに連れて来てもらって始めてここ来たんですよ。それで今日は始めて1人でやって来てみたんです」
こう笑顔で話す水井をみて原田は笑顔を浮かべている。最近喫煙者も減って来ており、同じ喫煙者というだけで親近感が湧いたりもするのである。
「喫煙者も減ったからな。部隊で吸ってるのも俺と一州さんだけだし」
「そうなんですね私の部隊もタバコ吸うの私だけなんですよね」
現在の喫煙事情について原田が言葉を漏らし、水井もため息ながらに現状を吐露した。この後、先にタバコを吸い終わった原田が店内に戻り、水井は吸い終わった後に一瞬悩んだが、新しいタバコをもう一本出して火をつけたのであった。