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1999年9月7日(火)

【熊大第2迷宮:華撃団Ⅲ部隊】
「相変わらず優雅やな」
「ちょっと動きが似てますよね」
 後方で戦闘を眺めていた倉本 憲伸が漏らした言葉を聴いて、高倉 蘭馬も感想を続けた。ここは熊大第2迷宮。華撃団Ⅲ部隊は本日も地下2階のトレーニングルームを訪れている。現在亜獣と戦っているのは島田 笠音であり、ピンクレバーで出現する扇子娘が相手である。大音量で部屋に流れる音楽に合わせて扇子娘は華麗な踊りを見せている。それに向けて島田が攻撃を加えているが、それを全て華麗に交わされている状況だ。また、扇子娘は攻撃を仕掛けてくることは無いが、手に持っている扇子の動きを攻撃と見なすのであれば、島田はそれをきちんと防御する動きを取っており、その動きは非常に華麗であり、気品すら漂っているのである。扇子娘の動きもかなり優雅なので、2人は同じような動きをしているように見えるのだ。程なく音楽が終わりを迎え、扇子娘は静かに消滅していった。
「やっぱり当たらない」
 攻撃が当たらなかったことが不満そうな表情を浮かべながら島田が戻ってきて言葉を漏らす。だが、この扇子娘には攻撃が当たらないというのが定説なので、全員で軽く励ますもそこまで落ち込んでるような様子ではない。
「じゃあ次俺行きます。青よろしく」
 こう言葉を投げかけた後に倉本が前に出たので、前島 瑠衣が青色のレバーを手前に引く。すると先程とは違う音楽が響き始め、将軍風の亜獣が米俵を背負って登場する。そして倉本はその亜獣に対して可能な限りの攻撃を仕掛けていく。
「くそ、当たらん!」
 大きな米俵を抱えているので動きにくそうに見えるのであるが、亜獣は倉本の攻撃を難なく交わし続けている。そしてある程度の時間が経つと、米俵を倉本に投げつけ、それは倉本にもろに的中する。すると部屋内に響いていた音楽も変化し、満面の笑顔を浮かべながら亜獣は消滅したのである。
「お疲れー。回復するよー」
 悔しそうに戻ってくる倉本に太田 香澄が優しく声をかける。これを聞いて、少し気持ちが落ち着いたようだ。
「では行ってきます。灰色で」
 この高倉の声を聞いて前島は灰色のレバーを引く。するといつものように座って何かをしている老人風の亜獣が出現する。その亜獣に対して、高倉は何度も攻撃を繰り広げたが、結局1度も攻撃が成功せず、しょんぼりした気持ちで戦闘を終了したのであった。

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