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1996年8月17日(土)《BN》

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「結局本田以外は全員どこかしこに行ってたんやな」
「俺が熊本を守ってましたよ」
 今までの話をまとめて前田 法重が発した言葉を聞いて、本田 仁が少し意味が分かりにくい返事を返した。ここは居酒屋『道』。お盆明けの土曜日であり、いつもよりは少し店内は落ち着いている状況である。前田といつものメンバーたちも、変わりなく飲み会を始めており、すでに大量の注文を消費している状況だ。今週はお盆休みがあり、各自自分の実家に帰省したり、パートナーの実家に帰省したようである。前田は自分の実家と、佐々木 雅美の実家を周り、中島 一州は妻の恵の実家、原田 公司は自分の実家と高嶋 美樹の実家、大塚 仁は自分の実家と相川 まことの実家、中尾 智史は大島 めぐみの実家にそれぞれ行ったという話を先ほどまで行っていたのである。もちろん本田も実家に帰ったり墓参りを行ったりと通常のお盆イベントはこなしているが、実家が熊本であり、特にパートナーがいるわけでもないので、お盆期間中熊本からでなかったのである。
「ところでみなさんビールが空いているようですね。頼みますよ」
「あ、本田、ついでにつまみも適当に頼む」
 全員のジョッキを確認した本田がすぐさま注文の準備を始め、つまみの量がだいぶん減っているのを見て原田がそちらの注文も依頼する。
「何か食べたい物ある人います?」
 こう本田が全員に質問するが、だいたいいつも返事は返ってこない。すなわち何でも良いという意思表示なのだろうが、注文をする人間は結構選ぶのが面倒なので、本心を言えば食べたいものを選んで欲しいと考えている。とはいえ、頼んだ料理に対して文句を言われることも無いので、適当に頼めば良いのは間違いない。
「あ、佐々木さんすいません。生ビール6杯と揚げ出し2つと砂ずり2つお願いします」
 こう注文した本田は再び自分の席に戻り一息つく。すると原田が声をかけてきた。
「本田、何注文したと?」
「いや、適当に軽く頼みました」
 質問に対して定型文で返す。こうなるとこの後の会話も定型文が続くと予想する。
「軽いってヘリウムガス?」
「かるーい」
 まさに理系的なボケと突っ込みを原田と大塚が口にし、いつものようにくだらない笑いがおこったのであった。

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